ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

凍える霧 サンドラ・ブラウン

 二転三転するサスペンスに、才色兼備なヒロインと型破りなヒーローのロマンスがいかにもサンドラ・ブラウンという感じで、グイグイ読ませるストーリーはロマサスの女王と言われるだけのことはある。

 ヒロインは癌の専門医。「さまよう記憶」のヒロインも女医だったけど、本作のヒロインのほうがちゃんと医者の仕事をしているし、彼女の仕事の内容がサスペンスと密接に絡んでいて面白い。ヒーローはチャーター機パイロット。確か「嵐の淵で」のヒーローもパイロットだったと思うけど、本作のヒーローのほうが好きだな。どちらもちょっとやさぐれてワルっぽいタイプだけど、このヒーローはふてぶてしいようで実は心に傷を抱えているところがロマンスの読者のツボを突いてると思う。ヒロインに惹かれているのにわざと嫌われるようなことを言って距離を置こうとするツンデレヒーローだけど、彼女のことが心配で離れていられないところが良いわ。患者の命を救うために自ら危険に飛び込んでいくヒロインは素晴らしく魅力的でヒーローが惚れるのも納得。普段はぶっきらぼうであまり感情を表に出さないけれど、だからこそ彼女への気持ちを抑えきれなくなった時の彼の言動にグッとくる。殺し文句が神がかってるわ。そりゃヒロインもイチコロよねぇ。ベテラン作家だからそういうところは本当に上手い。

 サスペンスに関してはあまり内容を書くとネタバレになるので、主にロマンスについての感想になるけれど、主役の二人とも好きなタイプで楽しく読めて良かった。S・ブラウンほどの大物作家だと大きく外すことはないので、あとは好みの問題だと思うけど、本作のカップルは割と好感度が高くて、比較的多くの人に受けるキャラクターじゃないかと思う。いつもながら最後まで気の抜けないストーリーでサスペンスとロマンスのバランスが良く、事件が解決するまでがたったの48時間なのに、その短い間に次々とトラブルが起きてあちこち逃げながら移動して、その上ロマンスも熱く盛り上がるんだから凄いわ。集英社も最近は翻訳ものの刊行をかなり縮小しているけど、サンドラ・ブラウンはファンが多いと思うので出し続けてほしいなあ。

凍える霧 (集英社文庫)

凍える霧 (集英社文庫)

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