ラノベみたいな長ったらしい邦題がイマイチだけど、ジェニファー・ニーヴンはかなり人気のあるYA作家で、この作品は映画化もされている。ヤングアダルトのラブストーリーでは、これまで読んだものだとジョン・グリーンの「さよならを待つふたり~」、レインボー・ローウェルの「エレナーとパーク」、ゲイル・フォアマンの「ミアの選択」なんかは割と良かったけど、これはちょっと内容に引っかかるところがあるなあ・・・。
アメリカのYA小説って“死”に関する話が多い気がするけど、この作品のテーマは“自殺”で、躁鬱病で自殺願望のある男子と交通事故で姉を亡くした女子が恋に落ちるストーリー。主人公がどちらもちょっと病んでで暗いけど、心に傷を抱えた二人だからこそ惹かれ合う気持ちに説得力があった。男の子は高校では周りから変人扱いされているけど、気の毒な家庭環境で一生懸命生きていて泣ける。ヤングアダルト小説に多い変わり者キャラで、いかにもアメリカの若者が共感しそうなタイプだわ。変わり者でも背が高くてハンサムで優しくて、女の子が恋する条件はちゃんと備えているのでロマンスはなかなか素敵。女子はたいていこういう影のあるタイプが好きよね。2人が社会の授業の課題で一緒にインディアナ州の名所を巡っているうちに恋に落ちていくところはロードムービー的な楽しさがあって良かったけど、結末が悲しすぎるよ。
あとがきによれば作者も昔ボーイフレンドを自殺で亡くしたそうで、この小説は自分の体験を元に書いたらしいけど、これってむしろ自殺を美化して推奨しているように思えるわ。これを10代の若者に読ませるのはどうよ。ネタバレ→
そういうわけで結末には納得がいかないけど、Goodreads Choice Awardほか色んな賞を受賞して絶賛されている作品なので読む価値はあると思う。泣くこと必至なので悲しいラブストーリーを読みたいときにどうぞ。
- 作者:ジェニファー・ニーヴン
- 発売日: 2016/12/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
小説では青い瞳が印象的な男の子ということになっていたけど、アフリカ系の俳優が演じているのね・・。なんかちょっとイメージ違うなあ。