ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

従僕と伯爵と私 ヴァレリー・ボウマン

 ラズベリーブックスはいつもkindle unlimitedで読ませてもらっている。このレーベルも昔は面白い作家をたくさん出していたけど、最近はラインナップが微妙な気がする。以前別の出版社が出してそれほど好評だったとは思えない作家を出すのが解せない。ヴァレリー・ボウマンもまさにそういう作家の一人で、あまり期待せずに読んでみたけどやはりいまひとつだった。

 伯爵が従僕のふりをしている時に令嬢に出会って恋をするという設定だけ見ると面白そうだけど、従僕を好きになったヒロインの身分違いの恋が切ないロマンスというわけでもなく、従僕に化けたヒーローの正体がバレそうになってハラハラするということもなく、話にメリハリがなくていまいち盛り上がらない。ヒロインは政治に関心があり、貴族に有利で平民に不利な新しい雇用法案が可決されないよう働きかけていて、その法案を支持しているヒーローと対立するのだけれど、肝心な法案の内容がおざなりにしか書かれておらず、ストーリーが上滑りしていてあまり話に入り込めない。

 このシリーズは、ヒーローの友人の公爵と侯爵も同じハウスパーティーで使用人のふりをしていて、2作目、3作目に書かれる彼らのロマンスも同時進行しているという設定だそうで、そのためか、舞台がハウスパーティーが開かれている屋敷内に限られ、躍動感の乏しいストーリーになってしまっている。この3組のロマンスが同じ場所で起こっているという設定が有用だとは思えない。ヒーローもヒロインもキャラクターの底が浅くあまり魅力を感じられなかったし、全体的に盛り上がりに欠ける残念な作品だった。

 Kindleの内容紹介にはなぜか日本初登場作家と書いてあるけど、この作者は以前マグノリアロマンスと二見文庫が出していて、どちらもシリーズものなのに1作だけ翻訳されてそれっきりだったので、あまり売れなかったんだと思う。このシリーズは、「従僕クラブシリーズ開幕」と書いてあるところを見ると続きも出すつもりなのかな?

 このタイトルはkindle unlimitedに入ってます。 

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