ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

孤独な瞳の目撃者 ノーラ・ロバーツ

 ノーラ・ロバーツって本当に多作な作家だよねぇ。ここ数年はイヴ&ロークを年に2冊、ノンシリーズの長編を1冊、パラノーマルのシリーズものを1冊という感じで、年間4冊きっちり書いている。このクラスの作家でそんなに書いてる人ってあまりいないと思うわ。リンダ・ハワードはもうあまり書かなくなってしまったし、サンドラ・ブラウンは翻訳の刊行が滞っているし、日本ではノーラがロマンス小説界の最後の砦か?!

 そいういうわけで(?)久しぶりにノーラ・ロバーツを読んでみた。人気作家だし嫌いじゃないけどリンダやサンドラと比べると自分の中ではお気に入り度が低く、あまり多くは読んでいないのでたいしたことは書けないけれど一応感想を・・。

 普通のロマサスならこれ位で十分だと思うけど、上下巻で800頁越えの長編だということを考えるとサスペンスにもう少し読み応えがあると良かったかも。ヒロインとロシアン・マフィアのくだりは緊張感があって良かったけれど、その後の田舎町での日常はちょっと気が抜けたように感じられた。こういうハートウォーミングなエピソードを交えるところがまさにこの作者の人気のポイントなんだろうけど、スピード感のあるサスペンスが好きな自分としては最初のテンションを保ったままでいてほしいと思ってしまう。警察署長のヒーローが扱う事件は、騒ぎを起こす金持ちのドラ息子とその父親があまりにもアホすぎてちょっと興ざめだった。総じて悪人と善人がはっきりしていてわかりやすいけれど、もう少し灰色のキャラクターがいてもいいんじゃないかと思った。

 ヒロインはマフィアの殺人を目撃して命を狙われている気の毒な境遇だけど、逃亡中にMITに通いプログラミングの達人になって高額な仕事で稼いで超リッチというのはあまりにも出来すぎな気がする。それに逃亡生活で対人スキルが低下していると言っても、大学に通っていたのだからそこまで世間離れしているというのは変じゃないかな。会話がロボットみたいでアスペルガー症候群かと思ってしまった。全体的にちょっと誇張しすぎたキャラクターという気はするけれど、飾り気のない美人で、賢く有能でありながら孤独を抱えた女性というのはまさにロマサスのヒロインの王道という感じで悪くはなかった。

 ヒーローは素敵な男性で優しくて良かったけれど、丁々発止の会話に定評のあるノーラ・ロバーツなんだから、ヒロインのロボットみたいな喋りにヒーローがもっとツッコミを入れてくれたら良かったのに。彼女の発言はそのまま受け流すには惜しいまさに絶好のツッコミポイントだと思ったんだけど。

 ロマサスとしては十分な完成度だと思うし、そもそもロマンス小説というのはあまり深く考えずに読めるところが利点だと思うので、そういう意味ではとても良く出来ていると思う。自分はむしろ深読みしすぎて、このドラ息子の父親がもしやロシアン・マフィアとつながりがあるのか、とか無駄に色々考えた結果、思ったよりも単純なストーリーだったので拍子抜けしたのだけれど、そういう読み方をすべき小説ではないということよね。長いけどサクサク読めて、重すぎず軽すぎず、ロマンスもハートウォーミングでこの作者らしいロマサスだった。 

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