ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

屋根裏の男爵令嬢 カーラ・ケリー

 カーラ・ケリーは一時期かなり人気があって色んな出版社が翻訳を出していた。私も好きでほとんど読んだけど、この1冊だけ未読だったわ。やはりこの作者はいい話を書くなあ。MIRA文庫から出ているのは原書はハーレクイン・ヒストリカルだけど、情感溢れるロマンスは他の作家とは一線を画していると思う。調べてみたらまだ未訳なのがたくさんあるからMIRA文庫(←最近ラインナップがイマイチだし)が出してくれるといいのに。

 ヒロインは男爵令嬢だけど、父親が財産を使い果たし借金を残して亡くなり、屋敷を売り払ってパン屋に住み込みで働くことに。そしてパン屋の常連客の侯爵の遺言でダートムーア刑務所に戦争捕虜として捕らえられているアメリカ人の身元引受人になってしまう。刑務所の酷い状況が描かれていたりして重い部分もあるけれど、心温まる素敵なロマンスだった。華やかな貴族の社交界ではなく市井の人々の日常を描いていて、派手さはないけど味のあるストーリーが良いと思う。一文無しになりパン屋で働くだけの毎日で結婚も諦めていたヒロインが、戦争捕虜のヒーローと出会い彼の人柄を知るにつれ愛するようになるのがとても自然で、穏やかだけど深い愛が素晴らしい。一緒になるのは無理だと思いながらも彼との将来を夢見ずにいられないヒロインが切ないわ。男爵令嬢から転落した彼女が身分に関係なく人生を築けるアメリカに希望を見出す展開にはメッセージ性も感じられ上手いと思った。頁数は少なめだけど思ったより波乱万丈なストーリーで読み応えもあり良かった。

 昔からヒストリカル・ロマンスを読んでいる人にはお馴染みの作家だけど、ロマンス小説の読者も世代交代してるだろうから、読んだことのない人は是非どうぞ。カーラ・ケリーは読む価値のある作家だと思う。もう絶版になってるけど幻冬舎のラベンダーブックスが出してたのがお勧めです。

屋根裏の男爵令嬢 (mirabooks)

屋根裏の男爵令嬢 (mirabooks)

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