最近はドラマの原作小説の刊行が増えている気がする。今は小説があまり売れない時代だし、出版社が話題性のあるものを出したがるのも無理はないわね。私は逆に、映像化されたものを先に見ると読む気が失せてしまうので、まずは小説を読んで内容が気に入ったら映画やドラマを見るというパターンが多いかな。ヴァージンリバーのドラマは見ていないけど、人気作家の出世作なのでロマンス小説好きとしてはこれはドラマに関係なく読んでおくべきかなと。
ベストセラー作家だけあってなかなか読み応えのある内容で面白かった。あまり癖のない正統派のコンテンポラリー・ロマンスで、分厚いけどサクサク読める。夫を亡くして悲しみに打ちひしがれているヒロインが再び愛を見つける展開が感動的だし、ヒーローはローリー・フォスターが書きそうな斧で薪割りするタイプの元軍人のバー経営者で優しくて素敵。看護師兼助産師のヒロインのお仕事エピソードは田舎町での医療の実態を描いていて興味深い。読む前はスーザン・ウィッグスみたいなヒューマンドラマ重視のストーリーを想像していたけれど、思ったより甘めのロマンスで普通にHotな内容だった。
元海兵隊で戦場の体験によるトラウマ持ちの男臭いヒーローは、ハンサムで女性にモテモテだけど独身主義を貫いていた。ところが都会からやってきた美人のヒロインと出会ってベタ惚れ。田舎の生活に慣れていない彼女の世話を焼き、DIYでボロ家を修繕してあげたりして至れり尽くせりのマメ男ぶり。オマケに40歳とは思えないほど元気モリモリで驚異の生殖能力(!)を持っていたりして、ロマンス小説の典型的なアルファメールだわね。(画像を見た限り、ドラマでヒーロー役を演じている俳優さんはちょっとイメージ違う気がするな。)本当に献身的なヒーローで、彼にこんなに愛されて尽くしてもらっているのに亡くなった夫を想い続けているヒロインが鬼畜に思えたわ。
美しい自然に囲まれた田舎町での生活は楽しそうで、ヒロインが人々の温かさに触れて少しずつ町に馴染んでいく様子が微笑ましい。心温まるストーリーだけど、ロマンスはドラマティックだし、森の中で大麻を栽培する悪人との対決とか、サスペンス的なエピソードもあり、飽きることなく読ませる展開が上手いと思った。
サラ・モーガンとかスーザン・マレリーが好きな方に良さそうな内容で、ドラマのファンじゃなくてもロマンス小説好きなら読んで損はないと思う。長く続いているシリーズで原書は20作くらい出ているけど、1作毎に主人公が変わる一般的なロマンス小説のスタイルなので、この1冊で主役カップルのロマンスは完結していてハッピーエンドなのでご安心を。