ロマンス小説感想日記

ロマンス小説感想日記

海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

特捜部Q 檻の中の女 ユッシ・エーズラ・オールスン

 最近はこういうシリーズものの警察小説からは遠ざかっていたけど、この作者はデンマークで一番人気のミステリー作家なので読んでみた。非英語圏のミステリーを開拓中なので。

 主人公の警部補もその助手(?)のシリア人もとても個性的で面白く、キャラ立ちという点では文句ない。若くて美人な政治家の女性が監禁される事件は身の毛のよだつ恐ろしさで、よくこんな監禁方法を考えたものだと思う。でも事件が猟奇的なわりには主人公が別居中の妻や義理の息子の要求に悩まされていたりする日常がやけに呑気なので、そこまで暗い感じではなかった。犯人は注意深く読んでいれば割と早い段階で予想がついてしまうので、もうちょっと謎を引っ張ってほしかったけど、監禁されている女性の恐怖がリアルに迫ってきて、彼女がどうなるのかを見届けないことには気が休まらないので、結構ハイペースで読んでしまった。 

 ストーリーは面白いけど、主役の警部補に魅力を感じるかと言われるとちょっと微妙かも。男性の読者なら共感できるのかもしれないけど、部下の1人が殺され、もう1人は首から下が麻痺して寝たきりになってしまった悲惨な事件のPTSDに悩んでいながら、警察の精神科医の女性に粉かけたりするチャラいところが何とも・・・。まあ興味深いキャラクターだとは思うけど。シリア人の男性は部屋の掃除や書類の整理をする用務員(?)として雇われたのに、予想外に有能で勘が鋭く、警部補とコンビを組んで奮闘するのが良かった。正式な警官でもない中東系の男性が主要なキャラクターとして活躍するというのが意外性があって面白いと思う。

 ちなみにこれもオリジナルのデンマーク版ではなくドイツ語版を元に日本語に翻訳したそうで、やはり北欧ミステリーって重訳が多いのね。文章は読みやすくて良かったけど。

 映画化されてます。

無断転載禁止 copyright © 2018 BOOKWORM