ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

プエルトリコ行き477便 ジュリー・クラーク

 予想とは少し違う話だったけど面白かった。DV夫からの逃亡を企てた女性が主人公のサスペンスだけど、そこまで追って追われての攻防があるわけではなく、逆境にめげず自分の手で人生を切り開こうとする2人の女性を描いた物語という感じで、胸に迫るものがありとても良かった。

 主人公のクレアは名門の政治家の一族に嫁いだけれど、夫の暴力に耐えられなくなり密かに行方をくらます計画を立てる。色々あって空港で偶然出会った訳ありの女性エヴァと飛行機のチケットや荷物を交換し、お互いになりすまして逃亡することに。

 一応クレアが主役なんだろうけど、彼女の目的は夫から逃げることだと最初からわかっているし、割と想定内の展開だったので、むしろ謎めいたエヴァのほうに興味をそそられた。エヴァのストーリーは過去に遡ったところから書かれていて、少しずつ人となりが明らかになっていくのだけれど、まさかそんな境遇だとは思わなかったので驚いた。彼女の人生はちょっとだけドラマの「ブレイキング・バッド」っぽいクライム・サスペンスのようで、先が気になりなかなか本を置くことができなかった。こういう善と悪の境界にいるような(・・というか境界を若干踏み越えているけど)キャラクターってすごく興味深いと思うわ。善人だけど悪の道に引きずり込まれてしまった複雑なキャラクターが絶妙で、彼女の心の内が如実に描写されているからつい感情移入してしまう。

 クレアとエヴァに肩入れしつつ読んでいたので、この結末はちょっとショックだった。余韻の残るエンディングでとても上手いと思ったけど、悲しい・・・。でも意表を突く結末なのは確かだし、読み終わった後も2人の女性の人生について考えずにいられない、深みのあるストーリーで、女性におすすめのサスペンスだと思う。

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