ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

ジェーン・スティールの告白 リンジー・フェイ

 これもジェーン・エアの改作で、主人公のジェーンが殺人犯という設定に興味を引かれて読んでみたけど、新書版で550ページもある長編で話の展開が遅めなので、頁数以上に長く感じてなかなか読み進まなかった。つまらないとは言わないけど、もう少しコンパクトにまとめられなかったのかなあと。

 ヴィクトリア朝のイギリスで、親を亡くし孤児となったジェーン・スティールが主人公の物語。彼女は殺人犯とは言え、相手は殺されても仕方のない悪人でやむを得ない状況での殺人なので、ある意味正義の味方のような役回りだった。それでも結構何人も殺しているので若干ソシオパス気味なところはあり何とも不思議なキャラクターで、そこが魅力なんだと思う。彼女の波乱万丈な人生はなかなか面白く、終盤で明らかになった出生の秘密にも驚かされたけど、これだけエキセントリックなヒロインが結局ソーンフィールド卿と結ばれてハッピーエンドというのは何だか普通過ぎる気がした。

 ソーンフィールド卿は「ジェーン・エア」のロチェスターのように妻を隠していたりはしないけど、インド育ちでシク教徒の英国人で謎めいたところがあり興味深いキャラクターではあった。医師という職業も悪くないし、生い立ちも複雑でロマンスのヒーローっぽいんだけど、何故かあまり魅力が感じられなかった。ジェーンとのロマンスもいまひとつ盛り上がりに欠け、取って付けたようなハッピーエンドには違和感があった。

 連続殺人犯の手記のような一風変わったストーリーで、後半はヒストリカル・ロマンスっぽい展開になるという、何だか捉えどころのない作品だった。ノワールジェーン・エアという感じで、こういうのが好きな人もいるだろうけど、万人受けする作風ではないように思う。

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