ロマンス小説感想日記

ロマンス小説感想日記

海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

ボックス21 アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム

 スウェーデンのミステリー。昔ランダムハウス講談社が出版したものをハヤカワがわざわざ復刊したくらいだからきっと面白いだろうと思い読んでみた。

 人身売買でリトアニアからスウェーデンに連れて来られた娼婦がひどい暴行を受けて病院に搬送される事件が起きる。瀕死の状態だったにもかかわらず彼女は医師たちを人質に病院の地下に立てこもる。彼女の意図は何なのか・・・というストーリー。かなり惨い事件でスウェーデン社会の闇を描いた凄い話だった。緊迫感のある展開に引き込まれ固唾を呑みながら読んでいた。確かに衝撃の結末だけど、人身売買のターゲットにされた若い女性達が気の毒すぎてそれでいいのかと思わずにいられない。グレーンス警部の行動にはどうにも納得いかないわ。主役だけど全く共感できないキャラクターだった。警部の同僚が事態を正してくれるのかと思いきや彼も結局残念な決断を下し、お前もか?!と強い憤りを感じた。この事件をこんな風に終わらせてしまうなんて許せない!!と思ったけど、強烈な印象を残すストーリーだったことは確かで、後味激悪だけどこれほど引き込まれるミステリーはなかなかないので読んだ価値はあった。

 それにしてもスウェーデンのミステリーはなかなかエグいな。最近読んでいるラーシュ・ケプレルもかなり残虐な事件を書いているけど、ケプレルの場合は血がドバドバ流れるホラーみたいでそこまで現実的でなくエンタメ性を追求した怖さ(?)だけど、アンデシュ・ルースルンドはゾッとするような現実の闇を書いていてまた違う怖さがあると思う。

無断転載禁止 copyright © 2018 BOOKWORM