ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

ザ・チェーン 連鎖誘拐 エイドリアン・マッキンティ

 エイドリアン・マッキンティは、80年代のアイルランドを舞台にした硬派な警察小説のシリーズが人気の北アイルランド出身の作家。シリーズもののほうは読んでいないけど、これはアメリカを舞台にしたサスペンスの単独作で、女性が主人公で面白そうだったので読んでみた。

 タイトルにあるように誘拐事件がテーマなんだけど、普通の誘拐とは違い、子供を誘拐された親は別の誰かを誘拐しないと子供を殺すと脅され、被害者が加害者になって連鎖的に誘拐が続いていくというすごい事件。いやまあ、こんな突拍子もない事件がもし起きるとしたらアメリカだろうね。ハリウッド映画のような派手でスピード感のあるサスペンスで一気読みだった。

 離婚して、乳癌が再発したばかりの不運なレイチェルは、さらに不幸なことに大事な一人娘を誘拐されてしまう。そして身代金を振り込むだけでなく、次のターゲットを見つけて誘拐しないと娘を殺すと言われ、娘を助けたい一心で誘拐を決行することに。別れた夫はあまり頼りにならないけれど、夫の兄のピートは元軍人で行動力があるので彼に助けてもらうことに。素人2人で必死に誘拐を企てるけれど、予定外のことが起きたりしてヒヤヒヤ。それにしても被害者を無理やり加害者に仕立て上げる恐ろしいシステムには心底ゾッとさせられた。最終的にはこの連鎖誘拐を企てた元締めと対決するのだけれど、乳癌の化学療法中のレイチェルとヘロイン中毒を治療中のピートという危なっかしい二人なので、最後までハラハラドキドキで気が抜けずとても面白かった。

  あとがきによれば、この作者はシリーズものでは色んな賞を獲得したけれど、そのわりに商業的な成功がイマイチだったようで、作家業は割に合わないと書くのを辞めて何とウーバーの運転手をしていたらしい。だけど説得されて作家に復帰し本作を書いたとのことで、多分これはアメリカの読者に受けるようにエンタメ性を追求して、思いっきり売れ線を狙って書いたんだろうね。実際アメリカでベストセラーになってるし。手に汗握る展開のテンポの良いサスペンスで売れたのも納得だけど、これだけ恐ろしい事件にしては結末があまりにもハッピーエンドすぎてちょっと嘘っぽい感じはしたかな。レイチェルとピートも簡単にくっついちゃったし。まあ後味は良いけどね。

 

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