ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

嘘の口づけを真実に ミーア・ヴィンシー

 M・ヴィンシーは前作が良かったので期待して読んでみた。ヒストリカルロマンスは次々と新しい作家が翻訳される割に当たりが少ない気がするけど、この作者はなかなかの実力派だと思う。今作も期待を裏切らない素敵なロマンスだった。

 ヒロインはプライドが高くて人に弱みを見せない貴族の令嬢で、いつも刺々しい態度で武装しているけれど実は優しくて思いやりがあり、心の奥では愛を求めている。父親に嫌な相手と結婚させられそうになり、幼馴染で元婚約者のヒーローに助けを求めるけれど断られてしまう。最初はヒロインのことを信用できない策略家だと決めつけていたヒーローだけど彼女を知るにつれ、高慢な態度の裏に傷つきやすい女性がいることに気づいて・・・というストーリー。二人の心の動きが繊細に描かれていて引き込まれた。この作者はキャラクターの描き方が上手くて登場人物がすごくリアルに感じられるのよね。特別捻りのきいたストーリーというわけではないけれど、キャラクターがひとりでに行動して話が進んでいくような自然さが良いと思う。素直じゃないヒロインの言動のせいで、なかなか思いが通じ合わないじれったい2人の恋が楽しかった。

 ヒーローのことが好きなのに、わざと嫌われるようなことを言ってしまうちょっと屈折したヒロインだけど、人間味が感じられて私は好きだな。支配的な父親から逃れて自力で大陸を旅したことで甘やかされた貴族から大人の男性に成長したヒーローも素敵だった。反発しながら惹かれあう2人の心の機微を丁寧に描いた読み応えのあるロマンスでとても良かった。

 

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