kindleで販売されている億万長者一族のロマンスを描いたシリーズ。今回読んだのはプライス家の長女エリザベスのロマンスで、話が続いているので2作まとめて感想を。
「名画をこの手に」は、亡くなった祖父が描いた肖像画が欲しければ結婚しろと父親に言われた名門プライス家の兄弟たちが、仕方なく相手を探して結婚する過程で真実の愛を見つけるというストーリーのシリーズもの。ロマンス小説の世界では子供に結婚を押し付ける金持ちの親がやけに多いけど、便宜結婚から愛が芽生えるというのは人気のあるテーマだもんね。この作者もお金持ちのヒーローのロマンスばかり書いていて、ちょっとワンパターンなところはあるけど、どれもそこそこ面白いと思う。
久しぶりにこのシリーズを読んだけど、プライス家の兄弟姉妹のロマンスの中ではこの話が一番良かった。ヒロインのエリザベスは18歳の時にヒーローのドミニクと出会い運命的な恋に落ちるけれど、親族の陰謀で仲を引き裂かれ、ドミニクはエリザベスに裏切られたと思い込んで彼女を恨んでいる。この昼メロ的なドロドロした展開にハマって読んでしまうのよね。ヒーローは当時は貧乏な学生だったけど、それから必死で働き出世して、10年後に彼女と再会した時には大金持ちの会社経営者になっている。定番中の定番の展開だけど面白いわ。彼女を恨みながらも惹かれてしまうヒーローと、彼のことをずっと忘れられずにいたヒロイン。そして読者はいつ誤解が解けてヒーローがヒロインにひれ伏すのかとワクワクしながら読むわけよ。2人のロマンスは前途多難で、ヒロインを狙うサイコパス(!)が現れたり、いきなり記憶喪失(?!)とか、笑っちゃうくらい盛りに盛った内容で大いに楽しませてもらったわ。
翻訳が一般的なロマンス小説よりも砕けた口語体なので、若干下品な感じはするけど、翻訳小説に慣れていない人でも読みやすいと思う。
この作品はkindle unlimitedに入っていました