ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

夜と少女 ギヨーム・ミュッソ

 以前読んだこの作者の「ブルックリンの少女」はフランス人作家が書いたにしては大統領選まで絡んだアメリカ寄りの壮大なサスペンスで、大風呂敷を広げたなあという印象だったけど、これは女子高生の失踪事件を描いたミステリーで、学校関係者の内輪の事件だから、適度なスケールで二転三転するストーリーが面白かった。

 主人公のトマは作家で、職業柄なのか思考が内省的すぎてちょっと共感しづらかった。高校時代、美少女のヴィンカに魅了され彼女を崇めていた彼はとんでもない行動に走ってしまったけれど、その出来事は隠蔽された。しかし彼が学校の同窓会のために故郷に戻って来ると、何者かが過去の事件の関係者を脅迫し始める。魔性の女が男性を振り回す悪女ものならよくあるけど、これはかなり捻りが効いていて予想外の展開に驚かされた。ストーリーは良く出来ていて面白かったけど、この主人公にはあまり同情できなかったなあ。ヴィンカに夢中になる前は、ほかの子とは違う特別なところのある男子だったというけれど、あまりぱっとしない普通の男の子としか思えなかった。ヴィンカのせいで人生を誤ってしまった悲哀みたいなものがもっと感じられたら共感できたかもしれない。

 翻訳ミステリーはやたらに長い作品が多い中、これは400頁ちょっとで短くまとまっていて、展開が早く中だるみせず読めたけど、短いぶんキャラクターに関してはあまり深く掘り下げられておらず、特に肩入れしたくなるような登場人物がいなかった。ミステリーとしては面白いので、ストーリーを楽しんでサクッと読了。

The Reunion (English Edition)

The Reunion (English Edition)

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 この作家はフランスでは一番人気のベストセラー作家らしいけど、英語圏ではそこまで人気がないのか英語版があまり出ていない。初期の恋愛ものが3冊くらい出ているけど、ミステリーではこれが全米デビュー作。

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