ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

赤い衝動 サンドラ・ブラウン

 サンドラ・ブラウンのロマサスはサスペンスにも気合が入っていて読み応えがあるわね。キャラクターはいつも似通っていて、上品なヒロインとバッドボーイのヒーローのロマンスが多いけど安定した面白さがある。

 本作のヒロインはテレビのレポーターで、昔ホテルの爆破事件で人々を救い国民的英雄となった元陸軍少佐にインタビューするためにやってきて、少佐の息子のヒーローと出会う。この作者のヒーローはちょっとやさぐれているのが定番だけど、このヒーローは適度なやさぐれ加減で、爆破事件の調査に入れ込みすぎてATFをクビになり今はしがない私立探偵として働いているけれど、粘り強く真実を追求しようとする正義漢なところが良かった。悪ぶっているようで、父親に認めてもらえず傷ついている繊細さも垣間見られ、それが女心をくすぐるのよね。ヒロインに対するアプローチも割とストレートで、最初から彼女に惹かれている。目線で彼女の体を火照らせたりするところがいかにもロマサスという感じで笑ってしまった。やはりロマンスのヒーローは目力がないとねえ。

 サスペンスもこの作者らしく要所要所にサプライズが仕掛けてあり最後まで気の抜けない展開で面白かった。作者自身が昔テレビのレポーターをしていたからか、ヒロインの報道関係のエピソードにリアリティが感じられて良かった。十分に良く出来たロマサスで大いに楽しんで読んだけど、原書が2017年刊行の比較的新しい作品にしては、大事な証拠をUSBメモリに保管しているのがちょっと古い感じがしたかな。バックアップはちゃんと取ってあるのかとか、暗号化して安全なサーバーにアップロードしとけばいいのにとか、余計な心配をしてしまった。まあ、今時のミステリー作家はみんな、ITの進化に即したプロットを考えるのに苦心しているらしいし、テクノロジーの進歩についていくのは大変だよね。

Seeing Red (English Edition)

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