ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

傲慢な花 ノーラ・ロバーツ

 ノーラ・ロバーツの初期のロマサス。原書が1988年刊行のかなり古い作品だけど最近Netflixが映像化して話題になっているので読んでみた。( 傲慢な花 | Netflix 公式サイト)RITA賞の前身のGolden Medalion賞の受賞作だし期待できるかなと。

 ヒロインは売れっ子のミステリー作家で、離婚した姉に会いに来たところ、真面目な姉がテレフォン・セックスの仕事をしていることを知り驚く。そして姉がその仕事がらみで何者かに殺害され、隣に住む刑事と一緒に犯人を捜すうちに恋に落ちるというストーリー。何しろ1980年代の話だから、パソコンを持っているのが珍しいくらいの時代で色々と古い。これが書かれた当時ならテレフォン・セックスとか衝撃的だったろうし、レイプの描写が結構生々しいからショッキングな話題作だったのかもしれないけれど、最近の小説に比べると大したことないし、サスペンス自体は割とありふれた設定なので決め手に欠ける印象。

 ヒーローは日曜大工が趣味で熱心に家のリフォームに取り組んでいるガタイのいい刑事で、家庭的で優しい女性がタイプだったのに理想とは正反対のヒロインと恋に落ちる。ヒロインは自立心旺盛な我が道を行くタイプで、自由奔放なところが魅力らしいけど、何だか無神経でがさつな性格としか思えずヒーローは一体この女性のどこに惚れたんだろうと思いながら読んでいた。ヒロインが煙草をスパスパ吸っているのも昔なら進んだ女のイメージだったかもしれないけど今となっては悪印象だし。

 ワシントンDCが舞台で大統領候補の政治家なんかも出てくるけど、政治家一族にはサイコパスがいるというのは割と定番だわね。(先日読んだJ・A・クレンツもそうだった。)精神科医が犯人像を掘り下げてもっともらしいプロファイリングをしていたけど、素人でもわかるようなことしか言ってなくて何だかなあ。犯人は現場に指紋残しまくりだし、クレジットカードを使って被害者に花を贈ったりしていて、これで犯人を捕まえられなかったら警察はよほど無能だよねえ・・・という事件で、ロマサスなのでサスペンスに期待しすぎてはいけないとは思うけど、やや残念な出来だった。

 それでも文章は上手いし、ストーリーも破綻なく綺麗にまとめられていて初期作にしては完成度は高いと思う。そこそこ楽しめるロマサスではあったけど、こんな昔の作品を何故今になって映画化したのか不思議だわ。ドラマの"キャッスル"の女版みたいなのを作ろうとしたのかな。まあ映画化にあたってストーリーは現代風にアレンジしているだろうし、サスペンスの部分をちょっと改変すれば意外といけるかもね。

 ちなみに海外ではアリッサ・ミラノが主役に起用されたことに小説のファンから不満の声が上がっていたらしいけど、ノーラ自身はアリッサが演じてくれて嬉しいと言っている。(そりゃあ嫌だとは言わないでしょうね。)Nora Roberts defends Alyssa Milano's casting in Brazen Virtue | EW.com どんな映画になったのかちょっと気になるので今度見てみるか。Netflixは「傲慢な花」という小説のタイトルをそのまま採用しているけど、もっとサスペンスらしいタイトルをつけたほうが再生回数が増えると思うわ。

 映像化で原作に興味を持つ人もいるだろうし、出版社も映画の配信開始と同時期に小説を再販していたら話題性もあって良かったのに。最近のMIRA文庫は同じ作家の再販ばかりでラインナップが残念すぎる・・。

 

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