ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

愛より速く、闇より深く シャノン・マッケナ

 The Hellbound Brotherhood 3作目。カルト集団の中で育った3兄弟のロマンスを描くシリーズ。本作は兄弟の幼馴染で15歳の時にカルト集団から逃げ出したフィオナと、3兄弟の長男アントンが主役。13年ぶりに再会した二人のドラマティックなロマンスがとても良かった。

 人気DJのアントンはナイトクラブチェーンを経営しているセレブで女優やモデルと浮名を流しているけど、実はずっと幼馴染のフィオナのことを想っていたらしい。彼女と再会した途端にメロメロになっていて、厳しい子供時代を過ごしたためにめったに笑わない彼が、彼女に対しては笑顔を見せるのが素敵。フィオナにとって彼はカルトから逃げ出すのを助けてくれた恩人&初恋の人で、別れ際の彼の優しいキスの思い出をずっと大切にしていたというのが良いわ。カルトの関係者に攫われた彼女を助けに馳せ参じるアントンはまさに地獄のヒーローという感じで、S・マッケナらしくアクションもロマンスも色々と激しくて迫力満点。シリーズ通してカルト集団の悪を暴いていくので、実際のところサスペンスは大して進展していないのだけど、ものすごく恐ろしい敵と死に物狂いで戦っている!という気迫に満ちていて、ハイテンションでストーリーが進んでいく。ロマンスもかなり濃厚だけど、サスペンスにマッチした激しさで良いんじゃないかな。ロマンス小説はこれくらいキャラが濃くないとね。特に本作のヒーローはヴィジュアルもかなりのインパクトで強烈。荒唐無稽なストーリーもこの作者なら許せる。あー面白かった。

 細かいことだけど気になる点がひとつ。みんながフィオナに呼びかけるのに「ファイ」と言っていたけど、FionaのニックネームはFiと書いて「フィー」と発音するのが普通だと思う。名前の表記って結構大事だよね。印象が違ってくるし。フィーのほうが語感が良いし可愛い感じがする。確認のため調べてみたら、子供の名づけ用に名前の由来とかが書いてあるサイトに下記の記述があった。

Fiona — Another that was rare in the US until recently, Fiona — which derives from the Gaelic word fionn, meaning “fair” — broke the top 200 in 2017. The name can be shortened to “Fi” (pronounced “Fee”) and is shared by the Grammy-winning singer, Fiona Apple.

 あとがきによれば、このシリーズは全5作で最終作まで刊行が決まっているそうで、最後まで読めるのは本当に有難いわ。やっぱりS・マッケナは人気あるんだね。

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