ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

偽りの銃弾 ハーラン・コーベン

 ヒロインが元陸軍ヘリのパイロットで射撃の名手だというからアクション系のサスペンスかと思ったら、かなり緻密なミステリーだった。ショッキングな描写で目を惹いたりするのではなく、謎が謎を呼ぶ展開で読者を釘付けにするストーリーが素晴らしい。さらにキャラクターの描写が丁寧で、登場人物に人間味がある。幼い娘を愛する母親であり、姉思いの妹であり、大富豪一族のゴージャスな御曹司と恋に落ちた情熱的な女性でもあるヒロインがとてもカッコよくて惚れ惚れした。戦場の体験によるPTSDに悩まされながらも懸命に事件を解明しようとする彼女に肩入れせずにいられない。

 思いもよらない事実が次々と出てきて、どんどん謎が深まり一体どうなるのかと読んでいて先が気になって仕方なかった。ネットで内部告発をするサイトがストーリーに絡んでいて、そういったものを上手くミステリーに取り入れているところが流石だと思う。終盤に事件の真相が明らかになった時には唖然とした。まさかの展開だったけど、そういうことかと全てに納得がいき、事件に片がついた時にはカタルシスを得られた。衝撃的な結末だったけど、最終章はちょっと感動した。本当によく練られたストーリーで、文句なく面白かった。

 ミステリーでは、謎解きは面白くてもキャラクターに魅力がない作品がよくあるけど、H・コーベンはキャラクターに深みがあり、ストーリーも琴線に触れるものがあって私は好きだ。日本のミステリーのランキングには何故か全然入っていないけど、個人的にはアンソニー・ホロヴィッツより上手いと思う

【追記】

2024年1月 Netflixでドラマが配信開始。Fool Me Once | Netflix

 

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