ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

ストーンサークルの殺人 M・W・クレイヴン

 Washington Poe シリーズ1作目 イギリスの作家が書いたミステリーだけど、登場人物はアメリカの犯罪捜査ドラマに出てきそうなタイプ。主人公のポーは事件解決のためなら危険も厭わず規則も曲げるアウトローっぽい刑事で、彼の相棒のティリーはずば抜けたIQの持ち主だけど対人スキルは子供並みというオタク系の情報分析官。警察ものにありがちなキャラクター設定だなと思いつつ読み始めたけど、これがなかなか面白かった。

 イギリスのカンブリア州で起きた連続焼殺事件の捜査に、SCAS(FBIのイギリス版みたいなものらしい)が協力することになり、ポーとティリーと上司の女性警部フリンが送り込まれ、そこに地元警察の刑事でポーの幼馴染のキリアンが加わり4人で捜査することに。少人数のユニットで、それぞれのキャラが立っているのでわかりやすく、4人の掛け合いが面白い。事件の真相が少しずつ明らかになっていく過程がとても興味深く大いに読ませるストーリーだった。最初は無差別殺人だと思われた事件がそうではないことがわかり、かなりおぞましい事実が見えてきて愕然とさせられる。ポーとティリーの凸凹コンビが良い味を出していて、二人の間に芽生えた友情にほっこり。ティリーは女子高生のような雰囲気で、途中まではかなり若い女性だと思って読んでいたけど、年齢がポーと数年しか違わないという記述があって驚いた。ポーは38歳らしいのでティリーも30代ということだけど、こんな無邪気な30代女性って・・。変わり者のオタク(ちょっとアスペルガー入ってる?)とは言え、あまりにも喋り方が子供っぽすぎるから、セリフの訳し方を変えたほうがいいんじゃないかと思った。

 真相が明らかになってみれば本当にやるせない事件で、終盤は泣きそうになってしまった。これは切ないわ。単なる猟奇殺人ではなく複雑な背景のある事件でかなり読み応えがあった。ポーの刑事の勘が鋭すぎて若干出来過ぎな感じがしないでもないけど、とても面白かった。ポーの出生のいきさつが気になるし、事件は解明されたけど幾つか疑問の残る結末になっていて憎いわね。今度2作目も読もう。 

 

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