ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

アディ・ラルーの誰も知らない人生 V・E・シュワブ

 これは原書がamazon.comやgoodreadsで凄い数の評価がついている超話題作なので翻訳が出ると知った時から読むのを楽しみにしていた。評判通りの壮大なラブストーリーでベストセラーも納得。読み応えのあるロマンティック・ファンタジーの大作だった。

 1700年代初頭のフランスで、23歳のアディは親に強要された結婚から逃れたくて必死で神に祈りを捧げ、現れた神と取引をして自由を得た。しかしその取引には落とし穴があり不老不死の自由な人生を得たかわりに誰の記憶にも残らない存在になってしまう。すぐに忘れ去られてしまうため誰とも関係を築けずに孤独な300年を過ごした彼女が2014年のニューヨークである男性に出会って・・・というストーリー。

 かなりの長編で展開も割とゆっくりなので、どんどんページをめくってしまうようなスピード感はないけれど、じわじわと染み込んでくる味わいがあり、気付いたら物語の世界に入り込んでいた。読後も心に残る深いものがあったと思う。テーマが少し観念的なところがあって好みが分かれるかもしれないけど私は面白かった。ヒロインのアディの孤独や、彼女がNYで出会ったヘンリーの境遇には、多くの読者に何かしら刺さるものがあると思う。運命に負けず強く生きているアディも魅力的だけど、ヘンリーの繊細さと脆さには胸を締め付けられた。対照的な二人のキャラクターが良かったと思う。アディが300年以上生きていて革命や戦争を経験しているからヒストリカルフィクションのような側面もあるけれど、LGBTの要素があったりするところは今風だし、ファンタジーの中に色んなテーマが詰まっていて、独創的なロマンスが読みたい方にお勧め。これは一読の価値がある作品だと思う。

 1つ文句を言わせてもらうと、定価の高い単行本で出すならもっと上手い翻訳者を使って欲しかった。恐らく元の英文が詩的な表現が多くて訳し辛いんだと思うけど、不自然な日本語の文章が多く見受けられて読みにくかった。翻訳者さんはうまく意訳して自然な日本語になるように心がけてほしいわ。以前、越前敏弥の日本人なら必ず悪訳する英文 がkindleの読み放題にあったからちょっと読んでみたんだけど、そこに悪い見本として書かれているような文章を実際に翻訳小説でよく見かけるのよね・・・。

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