ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

さよなら、ブラックハウス ピーター・メイ

 表紙のイラストやタイトルがYA小説っぽいけど、普通に大人向けのミステリー。スコットランドの島が舞台で、島特有の風土や慣習が描かれていて独特の雰囲気がある。主人公の刑事フィンが殺人事件を捜査するミステリーではあるけれど、彼が故郷の島に戻って少年時代の友人たちに再会することで自分の人生を見つめなおす人間ドラマの色合いが濃いストーリーだった。

 現在と過去が交互に語られるスタイルで、フィンの少年時代が丁寧に描かれていて、初恋の少女との思い出や、学校での悪質ないじめ、命がけのグーガ狩り等、ドラマティックなエピソードが多く読み応えがあった。「せつない青春ミステリ」という触れ込みの割に醜悪な過去やドロドロした人間関係もあり、爽やか系のストーリーではないけれど、それが却って面白かった。フィンは複雑なキャラクターで、幼い頃に両親を亡くし気の毒な子供時代を送った少年が、過去と縁を切ってこの島から脱出したいと思う気持ちには共感したし、故郷の島を訪れて郷愁に駆られ、昔の自分の行動を後悔したりする場面にはジーンとさせられたけど、恋人に対して酷い仕打ちをするゲス男の一面もあって怒りを覚えたり、色んな感情を揺り起こされた。

 読み始めは暗くて地味な印象だったけれど、最後まで読むと結構衝撃的な内容で、スコットランドの島という地理的な興味深さもあり、面白いミステリーだと思う。なんとなくタナ・フレンチの「悪意の森」を彷彿とさせるストーリーだった。エモい(?)ミステリーが好きな方におすすめ。

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