作家が主人公の出版業界ミステリーだけど、前半はミステリーというよりどちらかというとブリジット・ジョーンズの屈折したひねくれ者バージョンみたいなヒロインが、出版社に就職して恋に(不倫だけど・・)仕事に(同僚を妬んで不満たらたら)頑張っている日常を描いた女性向けフィクションという感じで、私はそういうのも嫌いじゃないけど、ミステリーを期待して読むと肩透かしかも。それにしても最近はme tooが動詞化してるのね。ヒロインが不倫した上司に「me tooしないから大丈夫」と言う場面があったけど、調べたら英語でもme-too'dとかme-tooingみたいに使うらしい。
ヒロインは人気作家のアシスタントになって取材のためのモロッコ行きに同行することになるのだけれど、そのモロッコの旅行記みたいなエピソードの部分はやや冗長に感じた。つまらない旅行の話を延々と聞かされているようで読んでいてあまり楽しくなかった。
後半に入るとサスペンスが盛り上がりを見せ面白くなった。そこまで意外な展開ではなくほぼ予想どおりだったけど、登場人物がだんだんサイコパス味を帯びていくのにゾクゾクさせられたし、リプリーのようなサスペンスに引き込まれた。全体的にはそこそこ楽しめて悪くはなかったけど、出版業界もののサスペンスだったら、コリーン・フーヴァーの「秘めた情事が終わるとき」のほうが捻りのきいたストーリーで面白かったな。