ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

1/2の埋葬 ピーター・ジェイムズ

 先日読んだ「会員制殺人サイト」が面白かったので、シリーズ1作目のこちらも読んでみた。サイコパスに拉致されて生きたまま埋められる話ならいくつか読んだことがあるけれど、これはかなり独創的。独身最後のパーティーの悪ふざけで友人たちが酔っ払った新郎を棺桶に閉じ込めて土に埋め、数時間後に助け出す予定だったはずが、その直後に友人たちの乗った車が事故を起こして1人は意識不明の重体で残りは全員死亡。新郎は生き埋めのまま放置されるという恐ろしい状況で、心配したフィアンセが警察に連絡し、グレイス警視が行方不明の新郎マイケルを探すことに。よくこんな突飛な設定を考えたなあと感心するわ。好奇心を刺激されて読まずにいられないわよね。それにしても欧米の独身さよならパーティーってとんでもなく悪趣味だわね。

 新郎が失踪したと聞いても、まさか生き埋めになっているとは思わないので、グレイス警視も最初は本腰を入れておらず、前半は本筋とはあまり関係ないエピソードを挟みつつのらりくらりと話が展開する。同僚に勝手に出会い系サイトに登録されて怒っていたけれど、セクシーな美人からメールが来てデートすることになり期待して出かけたら、その女性が少なくとも10年以上前の写真をプロフィールに載せていたことがわかったとか、仲間とポーカーをして大金をすってしまったとかいうグレイス警視の日常が書かれている。ゆるいペースで脱線しつつ進むのがこのシリーズの特徴かも。相棒のグレンソンとの掛け合いが漫才みたいで面白く何度も吹き出してしまった。この作者のユーモアのセンス、割と好きかも。

 後半はマイケル救出作戦が山場を迎えサスペンスに引き込まれた。単なる悪戯から二転三転して予想外の展開になりとても面白かった。犯人を追い詰める緊迫感はなかなかのもので、終盤はハラハラしどおしだった。この作者は以前ホラー小説を書いていただけあって、生き埋めにされたマイケルの恐怖感がリアルで心底ゾッとさせられたし、ユニークな設定で先の読めないストーリーがとても良かった。

 このシリーズは本国では今年18作目が出版予定になっていて、ドラマ化もされているし、かなり人気があるみたい。翻訳が2作しか出ていなくて残念。グレイス警視の失踪した奥さんがどうなったのか気になるわ。

 

警視グレイス | AXNミステリー

 

 

 これを刊行した出版社のランダムハウスジャパンは倒産しちゃったのよね。RHブックスは面白い作品をたくさん出していたのにねえ。ロマンス小説もあったし昔結構読んだなあ。翻訳小説好きとしてはまたどこか海外の出版社が日本に進出してくれたら嬉しいんだけど、日本の出版社でさえ本が売れなくて苦しんでいるのに無理な話よね。でもハーレクインが社名変更したハーパーコリンズは外資系だけど頑張ってるわよね。Amazonは北米では出版業に進出していて良い作家をたくさん抱えているけど、もしAmazonが日本で出版業を始めたら、日本の出版社は戦々恐々でしょうね。

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