ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

ダーク・ヴァネッサ ケイト・エリザベス・ラッセル

 42歳の男性教師による15歳の女子生徒への性的虐待を描いた衝撃的な内容の問題作。作者は冒頭でこれは架空の物語であると明記しているけれど、ノンフィクションに思えるほどリアリティのあるストーリーに圧倒された。

 孤独な女子高生が中年の教師の罠にはまり、それが運命的な恋であるかのように信じ込まされ、歪んだ関係に陥っていく過程が思った以上に生々しい描写で書かれていた。かなりおぞましい内容にもかかわらず、交通事故の現場をつい見てしまうのと同じような心理でどんどんページをめくらずにいられない。30代になった現在のヒロインと少女時代の彼女のエピソードが交互に書かれ、少女の頃の経験がトラウマになって大人になってからの人生にも大きな影響を及ぼしていることがわかる。愛に飢えた少女が年上の教師に君は特別だと囁かれ、愛されていると簡単に信じ込まされてしまうのが恐ろしかった。小児性愛者の教師は汚らわしい異常者で、利己的な行動には嫌悪感を覚えるけれど、彼にとっても彼女は特別な存在だったということはわかる。そのせいでヒロインは一層混乱し、別れた後も彼の影響下から抜け出せず、不安定な精神状態に陥っていて、あれは運命の恋で私は愛されていたという思いにしがみついているのが痛ましい。

 読んでいて鬱になるような話で、明るい結末でもないけれど、ヒロインの複雑な心理を詳細に描いていて引き込まれるものがあった。me too をテーマにしているけれど、勇気を持って告発しようとかいう単純な話ではなく、虐待の影響がどれほど大きいかを見せつけられ色々と考えさえられる内容で、読み物としてもよく出来ていると思う。

 

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