主人公のテリー・マッケイブは元FBI捜査官。40代半ばで心筋症になり早期退職を余儀なくされ、心臓移植を受けなければ余命わずかという自分の運命を受け入れていたけれど、運良く臓器提供を受けることが出来、手術も成功。ところが提供者が殺人事件の被害者だと知って苦悩する。そして臓器提供者の女性の姉から、妹の事件の犯人を見つけてほしいと言われ捜査をすることに。
しかし既にFBIを退職しているため何の権限もなく、昔のコネを使い知り合いの刑事に頼み込んで資料を見せてもらったりしなければならず、警察に気を遣いながらの捜査はなかなか進まない。しかも医者から車の運転も止められていて、最初はこんなフットワークの悪い病人をミステリーの主役にしなくてもいいのにと思いながら読んでいた。それでも読み進むうちに、これが入念に練られた設定で、ストーリーの肝になっていることがわかって脱帽。犯人の正体がわかった時は驚愕した。
ミステリーとして優れているのはもちろんだけど、主人公の人生のドラマとしても良く出来ていて、誰かが殺されたことで自分が生きていることの罪悪感、臓器提供者の姉とのロマンスや、彼女の甥の少年との心温まる交流等、事件の捜査以外のエピソードだけでニコラス・スパークスばりの感動ものが1冊書けそう。ロマンスがストーリーにピッタリはまっているところも上手いと思った。
クリント・イーストウッド主演で映画化されてます