Jack McEvoyシリーズ1作目。読むのが2→3→1の順になってしまったけど、やはりこれが一番面白かった。主人公のジャックは本作ではまだ30代。刑事をしている双子の兄のショーンが自殺し、新聞記者のジャックはそのことを記事に書こうと調べているうちに、実は自殺に見せかけた殺人であることに気づく。
子供の頃、姉が亡くなった事故のことで自分を責めていて、自分は双子の出来の悪いほうだという思いをずっと抱えている、少し屈折したところのあるジャックの複雑なキャラクターが良かった。事件をきっかけにFBI捜査官のレイチェルと出会って恋に落ちるけれど、肝心なところで尻込みしたり、女性に不器用なところがカワイイわ。
かなり古い作品(原書が1996年刊行)なので、インターネットの接続がダイヤルアップだったり、デジカメが高価で珍しかったり、そういうレトロなところも今読むと却って新鮮で面白い。捜査の過程が丁寧に書かれているから事件がとてもリアルに感じられたし、ミステリーにしては珍しく主人公の一人称で書かれているので、ジャックに感情移入しながら読んでいた。二転三転するストーリーがとても面白く、終盤はかなり盛り上がってハラハラドキドキの連続だった。
2、3作目を先に読んでいるから、ジャックとレイチェルの過去が気になっていたのだけど、こんなことがあったのかとビックリ。それにしても本作でのジャックのレイチェルに対する疑いはあまりにも酷いと思うわ。完全に推測で他の状況もいくらだって考えられるのに何でそういう結論になるかなあ。これは振られるのも無理はないわね。ジャックがなかなか女性とうまくいかない理由がわかったわ。まあ、そんな不幸体質のジャックが意外と好きだったりするんだけど。