ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

父を撃った12の銃弾 ハンナ・ティンティ

 「拳銃使いの娘」とよく似たストーリーだけど、こちらのほうが登場人物の感情が繊細に描かれていてずっと良かった。

 幼い頃に母親を亡くしたルーは父親と2人で各地を転々としながら暮らしていた。ルーが12歳の時、父親のホーリーは娘に安定した生活を送らせるため、亡くなった妻の故郷の町に定住し漁師の仕事を始める。ホーリーには若い頃、悪事に手を染めていたせいで体中にいくつもの銃創があり、彼がそれらの銃撃を受けることになった過去のエピソードと、新しく引っ越してきた町で色々な人と出会い成長していくルーのエピソードが交互に描かれている。

 ホーリーは悪党だけど、自分の過去が妻に害を及ぼしてしまったことを深く後悔していて、娘のことを必死で守ろうとしているのが良かった。引っ越す度に洗面台に妻の遺品を並べた祭壇を作っていたりするのが泣けるわ~。彼の妻と娘への愛の深さが感動的だった。

 引っ越しばかりの生活のせいで周りから変わり者と思われているルーが、学校でいじめに遭って悔しい思いをしたり、初恋を経験して戸惑ったりしながら成長していく甘酸っぱい青春の物語も素敵だった。母親を知らずに育った少女が、祖母から昔の母の話を聞いて思慕を募らせるのが切ないのよね~。思春期の少女の不安定さを繊細に捉えたストーリーが上手い。

 父と娘の絆を感情豊かに描き出していて、最近読んだ中では断トツでエモいミステリーだった。女性におすすめだと思う。

父を撃った12の銃弾

父を撃った12の銃弾

The Twelve Lives of Samuel Hawley: A Novel

The Twelve Lives of Samuel Hawley: A Novel

  • 作者: Tinti, Hannah
  • Dial Press Trade Paperback

 

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