Good Girl's Guide to Murder シリーズ2作目。前作の後日譚的なエピソードから始まり、登場人物も共通しているので1作目から読むのがおすすめ。
前作以上にSNSやポッドキャスト等のメディアの活用の仕方が上手く、事件もスケールアップしていて期待以上の内容に大満足。学園ミステリーの枠を超えた本格的な謎解きが楽しめるストーリーで、ヤングアダルト小説でここまで謎解きが良く出来た作品はなかなかないと思う。
主人公のピッパは前作の事件で危険な目に遭い、もう探偵のようなことをするのは辞めると家族に誓っていたけれど、兄が行方不明になったのに警察が取り合ってくれず途方に暮れている友人を放っておけず、誓いを破ってまた捜査をすることに。正義感が強く、頑固なところもあるけれど友達思いのピッパは幅広い読者層にアピールする魅力があると思う。YA小説のヒロインにありがちな、やたらと男の子にモテるタイプではなく、ボーイフレンドのラヴィと良い関係を築いているところも好感度が高い。女子高生が大人顔負けの推理で事件を解決するというのはやはり楽しく、賢い彼女がインターネットを駆使して事実を突き止め真相に近づいていくのにワクワクさせられた。ヤングアダルト向けだから読みやすいけど謎解きは巧妙で、捜査の過程がきちんと描かれているから説得力がある。ストーリーの盛り上げ方も上手く、終盤は危険な状況にハラハラさせられとても面白かった。3作目も楽しみだな~。
YA小説と言うと、アメフト選手にチアリーダー、オタク系、ゲイが出てきてスクールカーストがどうのといった、いかにもな設定が多いけど、このシリーズは(作者がイギリス人だからかもしれないけど)学校生活の描写が少なめで、そういう学園ものっぽい雰囲気があまりなく、大人でも違和感なく読めるところがポイント高いと思う。