上下巻で800頁という凄いボリューム。2人で書いてると長くなるんだろうか?女刑事とメンタリストがタッグを組んで難事件に挑むミステリーだというから、面白そうだと思い読んでみたけど、颯爽としたカリスマメンタリストを期待していたら、ヴィンセントは結婚生活に問題を抱えた悩めるオジサンという感じのキャラクターで、何だか予想と違った。離婚した元妻の妹と再婚してるって・・。夫婦仲がこじれていて、家では奥さんに文句を言われてばかり。他人の心理を分析するのは得意なくせに、自分は不幸な結婚生活を送っているのは何でやねん。
ヴィンセントは数字に関する強迫観念があり、清潔にこだわる強迫性障害の女性刑事ミーナと同類。悩みを抱える陰キャ同士で、最初はあまり良いコンビだと思えなかったけど、最終的には、ストーリーに合ったキャラクターだと納得。魔術師のトリックを模したおぞましい殺人事件に興味を掻き立てられ、意外な事実に驚かされる良く出来たミステリーで、終盤の展開は圧巻だった。主役の2人以外にも特捜班のメンバーの私生活のエピソードが色々書かれていて、キャラクターの描写が丁寧なのは良いけど、それがページ数マシマシの一因になっている。読みやすいので長さもそこまで気にならないけど、もう少し短くまとまっているほうが手を出しやすいとは思う。