ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

評決の代償 グレアム・ムーア

 かなり面白い法廷ミステリー。10年前の事件が新たな殺人事件を引き起こし、当時の陪審員に疑惑が・・。「12人の怒れる男」のように陪審員に焦点を当てた裁判ものだけど、捻りが効いていて先の読めない展開のストーリーが凄く面白かった。これはおすすめ。

 主人公のマヤは、10年前、世間の注目を集める殺人事件で陪審員を務めて酷い目に遭い、その経験から弁護士になった。ところが当時の陪審員仲間が殺される事件が起き、マヤが容疑者にされてしまう。公判中の陪審員の人間模様が非常に興味深く、多種多様なメンバーそれぞれに色んな事情があって、陪審員同士が恋愛関係になったり、なかなか凄い人間ドラマだった。主人公が容疑者として逮捕されるという展開が面白く、過去の事件の真相も衝撃的だったし、最後まで気の抜けないとてもよく練られたストーリーだった。作者が脚本家でアカデミー賞も獲っているだけあってキャラクターの描き方も上手く、大勢いる陪審員もそれぞれ個性がありセリフも面白い。

 それにしても、これを読んだらアメリカの司法制度に疑問を持ってしまうよねえ。法律に関して全くの素人が、法廷で弁護士や検察官から都合の良い事実だけを聞かされ、それを元に判断を下すわけだから、陪審員制度って危険だわ。主人公も弁護士なのに司法制度を全く信用してないし。

 訳者の人もあとがきに、この作品は「12人の怒れる男」をモチーフにしていると書いていたけど、やはりあの映画は法廷劇の金字塔だから一度は見ておくべきね。年配の人なら見てるだろうけど、若い人はあまり見たことないんじゃないかな。私は遥か昔の学生時代、一般教養で法学の授業を取っていた時、「12人の怒れる男」という映画を見てアメリカの陪審員制度についてレポートを書きなさいという課題を出されて、古い白黒映画にはあまり興味なかったけどレポートのために見たら、名作と言われているだけあって面白く、それがきっかけでアメリカの陪審員制度に興味が沸いた。今思えば、あれは学生に法制度について関心を持たせるナイスな課題だったわ。あの映画と、ポール・ニューマンの「評決」が先生のおすすめだったな。

The Holdout: A Novel

The Holdout: A Novel

  • Moore, Graham
  • Random House

 

(追記)この作家が気に入ったので、脚本家としてアカデミー賞を受賞したという映画「イミテーション・ゲーム」を見てみた。実話を元にした映画って地味なことが多いけど、脚色の仕方が上手くてとても面白かった。盛沢山な内容を2時間以内にうまくまとめてあって、ストーリーの盛り上げ方も上手く、主人公の子供時代のエピソードが効果的に挟まれていたりして結構感動した。ベネディクト・カンバーバッチの演技も上手くて引き込まれた。これは良い映画だったわ。脚本賞を獲っただけのことはある。グレアム・ムーアって才能あるなあ。

 

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