ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

唇を閉ざせ ハーラン・コーベン

 H・コーベンの出世作。2001年の作品だけど今読んでもそれほど古さは感じず、とても面白かった。

 主人公のデビッドは小児科医。25歳の時に幼馴染のエリザベスと結婚したけど、その7か月後に彼女は連続殺人犯に拉致され殺害されてしまう。最愛の妻を亡くして打ちひしがれ、仕事に没頭して8年が過ぎた時、エリザベスと思われる女性から謎のEメールが届く。彼女は生きているのかもしれないと希望を持ち、8年前の事件を調べ始めたデビッドに災難が降りかかり・・・というストーリー。

 デビッドがそれほど屈強な男性ではなく、逃亡したりするのも割といきあたりばったりで危なっかしいので読んでいるほうもハラハラさせられる。完全無欠のヒーローも良いけど、こういう普通の男性が事件に巻き込まれて、わけがわからないまま死にもの狂いで行動するのが面白いのよね。子供の頃からエリザベスをずっと愛し続けていて彼女を亡くして立ち直れずにいるところが泣けるし、初キス記念の思い出の場所を毎年訪れていたとか、そういうちょっと感傷的なところのあるキャラクターが良いと思う。

 デビッドが殺人の容疑をかけられた時に雇う弁護士が、「森から来た少年」に出てくるヘスターで、検事を毒舌でやりこめるのが痛快で思わずニヤリとしてしまった。彼女はこの作者の色んな作品にちょいちょい顔を出しているから人気があるんだろうね。確かにものすごく口が達者で面白いキャラクターよね。

 登場人物の誰も(主人公のデビッドですら)が何かを隠していて怪しく、謎と緊張感が最後まで持続するストーリーが上手い。スピード感抜群のサスペンスで、結末も捻りがあって良かった。

Tell No One: A Novel (English Edition)

Tell No One: A Novel

  • Coben, Harlan
  • Dell

 

唇を閉ざせ(字幕版)

唇を閉ざせ(字幕版)

  • フランソワ・クリューゼ

↑フランスで映画化されてます

 

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