ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

殺人者の陳列棚 ダグラス・プレストン リンカーン・チャイルド

 D・プレストンとL・チャイルドのコンビは、1995年に「レリック」が大ヒットして以来、第一線で活躍し続けている人気作家で、FBI捜査官のペンダーガストが主人公のこのシリーズは25年以上も続いていて、来年21作目がアメリカで刊行予定になっている。「レリック」が映画化された当時は、日本でも色んな出版社が翻訳を出していて結構人気があったみたいだけど、2003年にこの「殺人者の陳列棚」が出て以降は翻訳が止まっている。本国では今でもかなり売れているようで、ベストセラーリストでも名前を見かけるので面白いかと思い、古本を入手して読んでみた。

 奇抜な設定の、ちょっとホラーも入った不気味なミステリーだけどなかなか面白かった。開発業者がNYで建築のために地面を掘り起こしたら大量の人骨が見つかって、どうやら19世紀の連続殺人犯の仕業だとわかり人々に衝撃をもたらしたと思ったら、何とその模倣犯らしき者が現れて犯行を繰り返すようになり・・というストーリー。

 主役のペンダーガストは南部の上流階級出身で、資産家なのにFBI捜査官をしている変わり種。長身で端正な顔立ちながら、肌は色白、髪も白っぽいブロンドで瞳も淡い色という色素薄いタイプで、見た目からしていかにも不思議系という感じ。いつも突飛な推理で事件を解決しているというのも頷ける、カリスマ性のあるキャラクターだった。他に、博物館で働いている美人考古学者のノーラ、新聞記者のスミスバック、NY警察のオショーネシーが主要なキャラクターで、登場人物多めだけどそれぞれが事件の解決に重要な役割を果たしていて、活躍する場面があり良かった。個性的で面白いキャラクターばかりで気に入った。中でもノーラに振られてよりを戻そうと必死になっているスミスバックは、ちょっと抜けてるところがあるけど憎めないキャラクターで応援したくなるタイプだった。

 奇想天外で突っ込みどころはあるけどストーリーはとても面白いし、キャラも立っていて良かったけど、文庫上下巻で800頁はちょっと長く感じたので、もう少し短くまとまっていると良かったかな。文章自体は読みやすいんだけど、何ていうか、状況を説明するのに、微に入り細に穿った描写でいちいち情報量が多くて、もうちょっと簡潔にして頁数減らしたほうがスピード感アップするんじゃないかと思ったのよね。

 キャラクターは魅力抜群で、彼らが活躍する話をもっと読みたいという気にさせられた。原書でシリーズが20作以上出ているのも納得。考古学者のノーラはスピンオフで彼女が主役のシリーズ(←翻訳は出ていない)もあり人気みたい。一風変わったミステリーが読みたい方におすすめ。(古くてもう絶版になってますが・・。)

The Cabinet of Curiosities (Agent Pendergast Series Book 3) (English Edition)

The Cabinet of Curiosities (Agent Pendergast Series Book 3)

  • Preston, Douglas Child, Lincoln
  • Head of Zeus

 

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