ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

弁護士は奇策で勝負する デイヴィッド・ローゼンフェルト

 犬好きの作家が書いた法廷ミステリーで、これは1作目だからそこまで犬の出番は多くなかったけど、シリーズが進むにつれ犬小説(?)みたいになっていくらしい。原書は26作目まで出ている人気シリーズ。

 法廷ものを書く作家は元弁護士が多いけど、この作者は法律関係の仕事の経験はないみたい。軽いノリの法廷ミステリーで、主人公のアンディも熱血弁護士という感じではなく割とお気楽なタイプだった。ユーモラスな作風で、アンディのちょっとしたコメントがいちいち面白く、何度も笑わせてもらった。恋人の女性と関係を深めようとしている矢先に、長らく別居していた奥さんが急によりを戻したいと言い出して、妙な三角関係に陥りグダグダしているのが玉に瑕だけど、おちゃらけているようで意外と仕事が出来て、依頼人の無実を勝ち取るために頑張るアンディは好感の持てるキャラクターだった。

 法廷ミステリーを読んでいるとアメリカの司法制度って本当にこれでいいのかと思うことが多いけど、事件を担当する検事補も事実を重視する高潔な人だったし、おっかないと思った判事も公平な人だったし、裁判を担当するのが良い人達だったので、あまり司法の不条理を感じたりすることはなかった。まあ司法制度の問題を提起するような重い作風ではないということね。被告が冤罪だということは割と最初から明白だったし、真犯人が誰かも何となく予想がついて、そこまで意外性のあるストーリーではなかったけど、楽しく読めて普通に面白いミステリーだった。

弁護士は奇策で勝負する (文春文庫)

弁護士は奇策で勝負する (文春文庫)

  • デーヴィッド・ローゼンフェルト
  • 文藝春秋
Open and Shut: A Novel (The Andy Carpenter Series Book 1) (English Edition)

Open and Shut: A Novel (The Andy Carpenter Series Book 1)

  • Rosenfelt, David
  • Grand Central Publishing

 

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