Channel Fleet シリーズ最終作。三姉妹の末っ子ポリーのロマンス。眼鏡をかけていてぽっちゃり体形の彼女は、美人な二人の姉に比べ自分は醜いアヒルの子だと思っている。そんなヒロインに自信を持たせてくれる包容力のあるヒーローが良かった。
ポルトガルの海軍病院で医師の夫の助手として働いている姉のところへ行くために、海軍の船に乗せてもらったポリーは海兵隊士官のヒューと出会う。船酔いでゲロまみれになっている彼女の世話を焼き、中佐なのに船室の掃除までしてくれるヒューは超マメ男で優しいヒーロー。18歳のポリーに37歳の自分はオジサンすぎると悩んで諦めようとするけれど、どうしても彼女のことが忘れられず手紙を書いたりしているのが微笑ましい。ポリーのほうはハンサムで颯爽とした中佐が不細工な自分を好いてくれるわけがないと思っていて、もどかしい2人の恋が楽しかった。
ロマンスは可愛らしいけれど、ストーリーはなかなか過酷。ヒロインは、フランス軍の兵士に犯されたポルトガル人の女性たちが住む修道院で彼女たちの世話をすることになり、献身的に働く姿が印象的だった。フランス兵に穢されたことで家族にも見捨てられた女性たちの境遇には同情を禁じ得ない。痛々しい場面もあるけれど、戦争の残酷さをきちんと描いていて読み応えがある。後半は、ポリーとヒューがフランス兵に捕まってしまうという波乱の展開で、ロマンス小説なのでバッド・エンドにはならないとわかっているものの、一体どうなることかとハラハラさせられ面白かった。