ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

メイドの秘密とホテルの死体 ニタ・プローズ

 これは原書がベストセラーで、今年の話題作の一つなので読みたいと思いつつ後回しになっていた。(最近は新刊はほとんど電子書籍を買っているので、紙の本が先に刊行されると電子化を待つか迷うのよね。)遅ればせながら感想を。

 ミステリーとしてはそこまで凄い謎解きはないけれど、主人公のモリーのキャラクターがとてもユニークで小説としてはなかなか面白かった。最初のほうで殺人事件が起きるけれど、前半はホテルのメイドとして働いている彼女の日常の描写がメインであまり事件に進展はなく、ミステリーらしくなるのは後半から。

 モリーは他人の感情を読み取るのが苦手で、言われたことをそのまま受け取ってしまうので、みんなから変わり者と思われている。本文に明記はされていないけれど発達障害の一種かな。母親はずっと昔に幼い娘を置いて男と逃げてしまい、祖母と2人で暮らしている。このおばあちゃんが本当に良い人で、若い頃から苦労が多かったらしく人間が出来ている。人生を達観していて、いつもなかなか深いことを言うのよ。モリーはそんなおばあちゃんの言葉を大切に胸に刻んで行動の指針にしていて、祖母と孫娘の絆が感動的だった。(私もいつかこんなおばあちゃんになりたいわ~。)慎ましい2人はボロいアパートに住んで倹約しながら暮らしていて、お祝い事がある時にはオリーブ・ガーデンで食事をするのが定番って本当に質素で微笑ましいわ。(以前アメリカに住んでいたので向こうのファミレスのチェーン店は一通り行ったことがあるけど、オリーブ・ガーデンは安さが売りのイタリア料理のファミレスで、日本のサイゼリアみたいな感じかな。)そんなおばあちゃんを少し前に病気で亡くし、ひとりぼっちになってしまったモリーが、ホテルで起きた殺人事件に巻き込まれるというストーリー。

 モリーのような人は悪い奴に騙されがちで、おばあちゃんが大学の学費のためにせっせと貯金してくれたお金をボーイフレンドに持ち逃げされたりして気の毒すぎる。弱い者を食い物にする悪党って本当にたちが悪いわね。すぐに人を信じてしまうモリーが危なっかしくて何度もヒヤヒヤさせられた。純粋で真面目なモリーは助けてあげたくなるキャラクターで、窮地に陥った彼女に味方してくれる仲間が現れた時にはホッとしたわ。ミステリーの主人公としては珍しいタイプで、新鮮で良かったと思う。

The Maid: A Novel (English Edition)

The Maid: A Novel

  • Prose, Nita
  • Ballantine Books

 

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