ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

ドリームチーム弁護団 シェルドン・シーゲル

 2001年刊行のちょっと古い法廷サスペンス。海外では人気があり今もシリーズが続いていて14作目が今年出たばかりだけど、翻訳は最初の2作で打ち切られたみたい。文庫で800頁もある長編だけど面白かった。

 デビュー作でシリーズ1作目なので、内容は良かったけどキャラが立ってくるのはまだこれからかなという感じ。主人公のマイクは刑事弁護士で、大手の法律事務所に勤めていたけどリストラで辞職させられ独立開業したばかり。兄をベトナム戦争で亡くして聖職者になったけど宗教に救いを見い出せず辞めて弁護士になったという異色の経歴を持ち、バツイチで離婚の際には親権争いで泥沼に陥ったけど、今では元妻と良い関係を築いているとか、バックグラウンドが色々盛られている割には軽いキャラクターに思えた。リンカーン弁護士と似たところのある設定(こちらのほうが刊行は先)だけど、キャラクターの描写はM・コナリーのほうが繊細で上手いかなと。法律事務所の元同僚が殺人で起訴され、その弁護をすることになるのだけれど、親しい友人だったにもかかわらず、割と淡々と弁護している印象で、あまり葛藤とかが感じられなかった気がする。真犯人は意外な人物ではあったけど、後から無理やり捻りを入れたような感じがしないでもない。それでも巨大法律事務所の内部事情が興味深く、事件も複雑でストーリーはとても面白かった。グリシャムを凌ぐという宣伝文句は大袈裟だと思うけど、続きも読みたいと思った。

 

 

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