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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

ステイト・オブ・テラー ヒラリー・クリントン、ルイーズ・ペニー

State of Terror: The Unputdownable Thriller Straight from the White House (English Edition)

State of Terror

  • Clinton, Hillary Rodham,Penny, Louise
  • Pan

 

 女性の国務長官がCIAの諜報員や軍の特殊部隊並みに大活躍していて、ツッコミどころはあるけどなかなか面白かった。ビル・クリントンがジェイムズ・パタースンと共著でサスペンス小説を出したから、ヒラリーも真似したのかと思ったけど、これはドナルド・トランプをコケにするために考えたストーリーという気がするわ。だって前政権の無能な大統領ってまんまトランプだよねぇ。ノンフィクションにすると角が立つから、ポリティカル・スリラーでトランプ政権のダメっぷりを批判してやろう!とでも思ったのかしら。

 主人公のエレンはほぼヒラリーだし、顧問のベッツィーもヒラリーの親友の女性がモデルだそうで、実在の人物に寄せながらも、アクション系のストーリーに合わせて改変したキャラクター造形が上手いと思った。エレンが万能すぎてちょっと嘘くさい気はするけど、ストーリーは良く出来ていて面白い。複雑な中東情勢をわかりやすく書いているのは流石で、元国務長官だけのことはある。(実際に文章を書いているのはルイーズ・ペニーだろうけど。) 個人的にはエレンの息子のギルのキャラクターがドラマの「HOMELAND」っぽい設定で興味深いと思ったので、彼のエピソードをもう少し掘り下げて書いてほしかったかも。テロリストとか核弾頭とか、ハリウッドのアクション映画みたいに派手なストーリーで楽しく読めた。

 内容は良かったけど、翻訳がいかにも直訳という感じの文章でイマイチだったような。この訳者さん、ロバート・ベイリーのシリーズや、グレアム・ムーアなんかを手掛けた人なのね。それらの作品では特に文章が悪いとは思わなかったけど、今回はちょっと下手だった気がする。やっつけ仕事っぽい。

 

 

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