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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

死が三人を分かつまで ケイティ・グティエレス

More Than You'll Ever Know: A Novel (English Edition)

More Than You'll Ever Know: A Novel

  • Gutierrez, Katie
  • William Morrow

 

 出版社によれば「フーダニットを巡って手に汗握る実録系サスペンスの怪作!」らしいけど、この内容でフーダニットを売りにするのはどうかと思う。

 子供もいる人妻が、夫との関係がギクシャクしている時に素敵な男性に出会って不倫に走り、重婚に至る過程を描いていて、彼女を取材する作家も、母親を早くに亡くし父親はアル中のDV男という問題のある家庭で育ったせいでボーイフレンドとの結婚に二の足を踏んでいる悩み多き女性という、8割方は女性向けフィクションのような内容で、最後の2割くらいが殺人ミステリーという感じ。つまらないわけではないけれど、謎解きを期待して読むと肩透かしだと思う。リアーン・モリアーティやケイト・モートンの系統かな。

 興味深い内容ではあるけど、2人の男性と恋に落ちて重婚までしたローレを愛に生きた女性のようにやけに美化していて、情事の描写もロマンス風味で、葛藤しながらも愛を諦められず嘘を重ね・・みたいな描き方をしているのはどうだろう。実際、重婚なんて病的な嘘つきの自己中女がすることだと思うわ。ローレの複雑な人間性を描きたかったんだろうけど、いまひとつ話に入り込めなくて読んでいて長く感じた。(実際かなりの頁数で、もう少し短くまとめて欲しかった。)

 重婚したローレと、彼女についての本を書いているキャシーの二人がメインのストーリーなので、せめてキャシーに共感できたら良かったんだけど、複雑な境遇で家族との確執を抱えているわりに、あまり魅力的なキャラクターとは言えず、こんな女性と付き合っているボーイフレンドが気の毒に思えた。ローレもキャシーも自分の理屈で男を振り回していて、ひとりよがりなところがあるにもかかわらず、彼女らの言い分に寄り添うようなストーリーになっているのがちょっと気になった。全体的にどちらかというとグレーな内容のイヤミスっぽいのに、結末は無理矢理サクセスストーリーにしたような印象で不自然に感じた。

 

 

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