ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

イノセント ハーラン・コーベン

The Innocent: A Suspense Thriller (English Edition)

The Innocent: A Suspense Thriller

  • Coben, Harlan
  • Dutton

 

 「唇を閉ざせ」「ノー・セカンド・チャンス」そして本作と、H・コーベンの過去作3作を読んだ中ではこれが一番良かったかな。まあどれも面白くて甲乙つけがたいけど。3作とも、妻に秘密があり、その秘密を探るうちに主人公が事件に巻き込まれ、実はその裏に陰謀があって・・・という似たようなストーリーだけど、それがこの作家の黄金パターンなんだと思う。逃亡しながら必死で真実を明らかにしようとする主人公が良いし、一見関係なさそうな出来事が最終的に1つに繋がる展開が読んでいて爽快なのよね。

 主人公のマットは幸せな家庭で不自由なく育った普通の青年だけど、大学生の時にパーティーで喧嘩に巻き込まれ、揉み合いになって倒した相手が頭を打って死んでしまい、裁判で正当防衛を主張したけど認められず4年間刑務所に入ることに。刑務所暮らしはかなりキツく、出所する頃には感情を表に出さない内向的な人間になっていた。それでも兄が自分の勤めている法律事務所に弟を雇ってくれるよう掛け合ってくれて、パラリーガルとして働くようになり、優しい女性と結婚して人生を立て直しつつあった。ところがある日、携帯に妻の浮気現場らしき画像が送られてきて・・・というストーリー。

 H・コーベンの描く男性主人公は割と繊細なタイプが多くて好きなのよね。既婚のキャラクターだと奥さんとの素敵な馴れ初めが描かれていたりするし、きっと作者自身もロマンティックな人なんじゃないかしら。本作のマットは服役した経験から悲観的な人間になり、幸せな生活がいつ崩れ去るかわからないと恐れているようなところがあって、何だか同情してしまう。修道女が殺害された事件も興味深く、検死で豊胸手術を受けていたことがわかり、尼さんが豊胸って?!と話に引き込まれた。主人公が陥れられ追い詰められていくのにハラハラさせられたし、終盤のどんでん返しは見事だった。やっぱり上手いわぁ~。この作家は未訳の過去作がたくさんあるから翻訳を出してくれると嬉しいんだけど。

スペインでドラマ化されてます。(色んな国で人気があるのね。) Innocent | Netflix 

 

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