メアリー・ヒギンズ・クラークは昔好きでよく読んでいたのよね。あまりにも昔のことなので読んだタイトルをすっかり忘れてしまったけど、どれを読んでも面白くてハズレがない作家だと思う。
90年代の作品だけど古さも気にならずとても面白かった。やはりサスペンスの女王と言われるだけのことはある。検事補のヒロインは薄情な夫と離婚して10歳の娘を育てているシングルマザー。娘が怪我をして形成外科に連れて行ったところ、患者の女性の顔に何故か見覚えが。それが10年前に殺人事件で亡くなった女性の顔だと気付いて驚愕する。その医者は事件で亡くなった女性の父親で、死んだ娘の顔そっくりに患者を整形していた。患者のことを自分が作った芸術作品のように思っている医者がものすごく不気味でインパクト抜群だけど、それだけの単純なストーリーではなく、ヒロインの元夫が弁護している犯罪組織の大物や、美術品の窃盗犯等、一見関係なさそうな人物が10年前の事件に関わっていて、入り組んだ謎解きに適度なスリル、驚きの結末と、全てが揃ったミステリーだった。
メアリ・H・クラークは2020年に亡くなられてましたが、晩年もアラフェア・バークと共同で多くの作品を執筆していて、来月新作の"Where Are the Children Now?"が刊行予定。でも調べてみたら翻訳は2006年の「20年目のクラスメート」を最後に途絶えているのね。超有名作家なのに・・。