作者はJ・イヴァノヴィッチに触発されて、このユーモアミステリーを書いたそうで、確かに作風が似ている。(翻訳者が同じなので余計にそう思うのかも。)主人公がバツイチのシングルマザーにしてはお気楽すぎる気はするけど、割と面白かった。
バブルズは34歳の美容師。バービー人形のようなプロポーションで、いつもチューブトップとホットパンツを身に着けていて、周りからは頭からっぽのブロンドだと思われている。娘のためにも稼ぎの良い仕事に就こうとジャーナリストを目指し、特ダネを掴んで新聞社に雇ってもらおうと事件を取材するうちに、様々なトラブルに巻き込まれる。メル・ギブソン似のカメラマンにヨロめいたり、奥さんに離婚された5人の子持ちの刑事に言い寄られたりして忙しい。母親も豪快な人だし、登場人物が変わり者ばかりで、突飛な行動をするのが笑えた。バブルズの皮肉たっぷりのモノローグには何度も噴き出してしまったわ。作者はこのシリーズの後、女性向けフィクションやロマンスも書いていて、RITA賞にノミネートされたこともあるそうだけど、その割には男性キャラクターの魅力はイマイチという気がしたな。
本作はアガサ賞を受賞しているそうで、ミステリーもそこそこ良くできているし、ユーモア系のコージーミステリーでは面白いほうだと思う。