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海外ミステリーとロマンス小説のブックレビュー

ゴーイング・ゼロ アンソニー・マクカーテン

ゴーイング・ゼロ (小学館文庫)

ゴーイング・ゼロ (小学館文庫)

  • アンソニー・マクカーテン
  • 小学館
Going Zero: An Addictive, Ingenious Conspiracy Thriller from the No. 1 Bestselling Author of The Darkest Hour (English Edition)

Going Zero

  • McCarten, Anthony
  • Macmillan

 

 CIAとIT企業の共同事業で、犯罪者追跡システムの実用化のための実証実験を行うことになり、一般の応募者から選ばれた10名の参加者が、政府機関の追跡をかわしながら逃走するというリアリティーショーのようなストーリーのサスペンス。

 実際、アメリカにこれと似た "Hunted" という番組があるそうで、原書のレビューで引き合いに出されていたので調べてみたら、9組の参加者が、番組が用意した精鋭の捜査チームから逃げ切って25万ドルの賞金を手にするために奮闘するという内容らしい。捜査チームは流石アメリカで、元CIAや、元連邦保安官、元陸軍レンジャー、元SWAT、元FBI等の凄いメンバーだそう。アメリカのTV番組はスケールが違うわね。

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 この小説は読み終わってみればなかなか面白かったのだけれど、前半は今一つ話に乗れなかった。主役のケイトリン以外の参加者が雑魚ばかりであまり興味が持てないにもかかわらず、それぞれの参加者に頁が割かれているのでちょっとダレてしまった。見つかっても賞金がもらえないだけなので、そこまで必死さが感じられないし、参加者同士が接触することもないのでストーリーが平面的に感じた。

 面白くなるのは後半で、ケイトリンが参加した理由が明らかになり、陰謀めいた展開になって、彼女に肩入れせずにいられなくなり話に入り込んでいった。こういうストーリーは主人公に感情移入できるかどうかが重要だと思う。前半は出来の悪いリアリティー番組みたいだったけど、後半はハリウッドのアクション映画のように盛り上がり、ハラハラさせられた。IT企業の社長のサイも最初は普通っぽくてつまらない奴だなと思っていたけど、後半はかなりインパクトのあるキャラクターになってストーリーを盛り上げていた。興味深いテーマのサスペンスで面白かった。