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海外ミステリーとロマンス小説のブックレビュー

放蕩貴族の最後の恋人 ロレイン・ヒース

放蕩貴族の最後の恋人 (mirabooks)

放蕩貴族の最後の恋人 (mirabooks)

  • ロレイン ヒース
  • ハーパーコリンズ・ジャパン

 

 Once Upon a Dukedom 1作目。新シリーズだけど前のシリーズと関連していて、「公爵令嬢と月夜のビースト」のヒロインだったアルシアの兄がヒーローに。公爵の父親が反逆罪で死刑になって爵位を剥奪され、貧民街で暮らしていた兄弟よね。今作は次男のグリフと、アルシアの親友キャサリンのロマンス。以下ネタバレあり。

 前作ではこの兄弟は父親が関わっていた陰謀の関係者に制裁を下すために暗躍しているらしかったので、復讐心に燃えてダークサイドに堕ちたヒーローみたいなのを想像していたけどちょっと違った。(3作目の主役の兄のほうがそういう感じなのかな?)長男と違い次男のヒーローは父親の事件にはさっさと見切りをつけて、爵位のない人たちのためのクラブを経営して自分の人生を切り開こうとしている。幼馴染のヒロインのことを想っているけど、爵位持ちの貴族との結婚を望んでいる彼女とは結婚できないと諦めて、花嫁募集中の公爵に彼女を推薦して応援しようとする。ヒロインの結婚をネタに賭けで儲けたお金をちゃっかりクラブの開業資金にしたり、次男だから世渡りが上手いわね。ヒロインもヒーローに惹かれているけど、貴族と結婚しないと祖母が残したコテージを相続できないので、公爵と結婚しようとする。ヒロインが貴族と結婚する動機が弱く、どうしてもコテージを手に入れたくて切羽詰まっているという感じでもないし、ヒーローも設定の割にはそこまで悲壮感はなく、全体的にヌルい感じ。2人とも割と最初からお互いに夢中で、結婚を阻む障害もそこまで大きくない気がするし、ちょっと切なさが足りない気はしたけど、まあサクッと読めて楽しかった。

 次作は本作でキャサリンに求婚を断られた公爵がヒーローになり、秘書の女性に花嫁選びを任せることにしたけど、その秘書が実は彼に想いを寄せていて・・という話らしい。よくあるパターンだけどL・ヒースならきっと面白いだろうと期待しよう。ヒーローのことが好きなのに彼の花嫁探しをするヒロインの話では、これまでに読んだ中ではC・キャンプの「恋のリグレット」が面白かったかな。