ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

ワイフ・プロジェクト グラム・シムシオン

ワイフ・プロジェクト

ワイフ・プロジェクト

  • グラム・シムシオン
  • 講談社
The Rosie Project

The Rosie Project

  • Simsion, Graeme
  • Penguin

 

 男性作家が書いた男性が主人公のラブコメ。映画化の予定も一応あるようで、先日、映像化進行中の注目の小説の記事を書いている時に知って、興味を引かれたので読んでみた。原書はベストセラーで全3作のシリーズだけど、翻訳は1作目のみ。

 帯の紹介文によれば「ドン・ティルマン39歳。遺伝学者。ハンサムで頭はいいし料理も得意、しかし生涯彼女に恵まれたことがない。空気の読めないオクテ・39歳が考えついた涙ぐましい珍婚活の行方とは?」とのことで、基本的にはそのあらすじ通りの楽しい内容だったけれど、ドンは実は自閉症で、子供の頃から変わり者と思われて友達がいなかったり、色々と苦労していて思ったよりも複雑なキャラクターだった。

 女性との交際がなかなかうまくいかないドンは、結婚相手を見つけるためのアンケートを考案して、条件にぴったりの女性を探そうとする。しかし全く条件に合わないロージーと出会い、彼女と一緒にいるととても楽しくて、スケジュール通りに規則正しい生活をしていたのに、彼女と一緒に過ごすために自分で決めたルールをどんどん破るように。それなのにニブくて自分がロージーに恋していることになかなか気付かないのよね。ロージーは自分の実の父親が誰なのかわからず探していて、ドンは遺伝学者の自分なら父親を見つけるのを助けられると、妻探しはそっちのけで彼女のために奔走している。自閉症だと他人に共感するのが難しいとのことだけど、ロージーのために自分を変えようと頑張るドンが良かった。そこそこ面白かったけど、やはり男性が主人公なので男性が読んだほうが共感できる内容かなあ。でもこのジャンルを読む男性は少ないよねぇ。

 映画化は今のところヘンリー・カヴィル主演ということになっているけど、最初はライアン・レイノルズの名前が挙がっていたらしい。う~ん、この役はカヴィルよりもレイノルズのほうが合っていると思うなあ。まだ詳しいことは決まっていないようなので企画が頓挫するかもしれないけど、企画元のソニー・ピクチャーズは最近、グレン・パウエルの「恋するプリテンダー」が大ヒットしたばかりなので、ラブコメ映画の製作に前向きになっているかもしれないわね。