ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

身代りの女 シャロン・ボルトン

身代りの女 (新潮文庫 ホ 25-1)

身代りの女 (新潮文庫)

  • シャロン・ボルトン
  • 新潮社
The Pact: The gripping thriller for readers who love dark academia and shocking twists (English Edition)

The Pact

  • Bolton, Sharon
  • Trapeze

 

 学生時代に犯した悪事が大人になって暴かれそうになり事件が起きるというパターンは、ミステリーでは割とよくあるけど(最近では「あの夜、わたしたちの罪」とか)ここまで面白いのはなかなかないと思う。読み始めたら止まらず一気読み。活字が大きめなのでページ数の割に文章量はそこまで多くなく、意外とすぐに読み終わった。

 名門高校の仲良しグループ6人は、みんな成績優秀で一流大学へ進学予定だったけれど、ある晩、肝試しで高速道路を車で逆走して事故を起こし被害者が亡くなってしまう。6人全員が刑務所に入る必要はないと、グループの中で唯一、家が貧しく奨学生のメーガンが罪をかぶることに。20年後出所した彼女が、社会人として成功している5人の前に現れて・・・というストーリー。最初のうちは卑怯な5人に腹が立って、メーガンの出現に怯える彼らのことをいい気味だと思い、いいぞメーガンもっとやれ!と彼女を応援しながら読んでいた。罪をかぶってくれた彼女に対し罪悪感を抱きながらも、保身に走る5人の心理がリアルに描かれていて引き込まれた。

 二転三転するストーリーで、先が気になってどんどんページをめくってしまったけれど、どんでん返しは通常の範囲内で、意外ではあるけど捻り具合はまあ普通だったかな。それでも十分面白かったけど。新潮が最近出した女性作家のミステリーはキャサリン・R・ハワードやジャクリーン・バブリッツも読んだけど、シャロン・ボルトンが一番良かった。