リズ・ニュージェントはアイルランドの作家だそうで、このストーリーは、同じアイルランドのベストセラー作家、エマ・ドナヒューの「部屋」の影響を受けて書いたのかしら??どちらも同じような事件を扱っていて、事件そのものよりも関係者の受けた影響やその後の人生を描いているという点も共通している。こちらのほうが被害者の受けたダメージが深刻で恐ろしいけど・・。
「アンソニー・ホロヴィッツ絶賛!」とか「予測不能ミステリー」という宣伝文句にしては、謎解きがメインのストーリーではないけれど、変わり者の主人公、サリーのキャラクターがとてもインパクトがあり面白かった。幼少期の経験が及ぼす影響が非常に上手く書かれていて説得力があった。そういう意味ではサリーではなく、もう一人の主要登場人物のほうがさらに興味深かったと思う。おぞましい事件の詳細が明らかになるにつれて嫌悪感が増していくけれど、それでも先が気になってどんどんページをめくってしまった。被害者が壊れていく様子がリアルで恐ろしくて話に引き込まれた。ゾッとするような事件を描いていて気持ちの良い話ではないし、結末も一件落着というわけではないけれど、独特な面白さのある一作だった。