ボッシュが新人の頃に指導してくれたベテラン刑事の死後に、彼が保管していた未解決事件のファイルが出てきて、ボッシュが調査するという内容。レネイが担当したホームレスの焼死事件と、リンカーン弁護士のミッキーが被告を弁護した裁判所判事の殺害事件も同時に描かれ、意外なつながりが明らかになる展開がとても良く出来ていて面白かった。私は法廷ものが好きなので、ミッキー・ハラーの案件に多くのページ数が割かれていたのが嬉しかった。ボッシュ&バラードもので私が読んだ中では「素晴らしき世界」より良かったけど、「正義の弧」には負けるかなという印象。
内容はさておき、やはりこの翻訳者の文章はイマイチだなあ。昔担当した事件に関してボッシュに口を出されてムカついた刑事のセリフが「君は歴史だ」と訳されているのはどうよ。英語で "You are history." という場合の history は悪い意味で使われていて要するにオワコンということだから「歴史だ」ではニュアンスが伝わらないと思う。私なら「アンタはもう過去の人だ。」とか訳すけどなあ・・。全体的に自動翻訳のような、元の英文が容易に推測できる直訳の文が多く、日本語としては不自然で、読んでいて赤ペンで添削したくなってしまうような文章なのよね・・。