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海外ミステリーとロマンス小説のブックレビュー

壊れた世界の者たちよ ドン・ウィンズロウ

壊れた世界の者たちよ (ハーパーBOOKS)

壊れた世界の者たちよ (ハーパーBOOKS)

  • ドン ウィンズロウ
  • HarperCollins
Broken (English Edition)

Broken

  • Winslow, Don
  • William Morrow

 

 ドン・ウィンズロウが人気作家で評価も高いことは承知しているけど、扱っているテーマが重くて自分の好みとは少し違うかなと思いこれまで読んだことがなかった。でもこの短編集の中の "crime101" (邦題「犯罪心得一の一」) が映画化されるようで、キャストもクリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、ハル・ベリー、バリー・コーガン等、人気俳優が揃っているし、作品の映像化権を巡ってAmazonとNetflixがバトルを繰り広げた (Amazon & Netflix In Rights Battle For 'Crime 101,' Don Winslow Novella) らしいので興味が湧いて読んでみた。この1冊に6つの短編が収められているので順番に感想を。

 

壊れた世界の者たちよ

 ともに警官をしている兄弟の話で、弟を犯罪組織に無残に殺された兄が復讐するというストーリー。兄の執念が凄まじく、警官なのに法を無視して暴走するのが衝撃的だった。善良な警官だった弟に対し、兄は麻薬取締班で若干灰色の部分があるというのがリアルに感じられた。短いけれどインパクトのあるストーリーで引き込まれた。

 

犯罪心得一の一

 宝石泥棒と彼を追跡する刑事のストーリーで、この作者にしては(?)軽めの内容。つまらないわけではないけど、躍起になって映像化権を取得するほどの作品ではないような気がするなあ。とは言え主人公の宝石泥棒は一癖ある面白いキャラクターだと思った。この役をクリス・ヘムズワースが演じるのね。そして刑事役がマーク・ラファロか。イメージぴったりのナイスなキャスティング。

 

サンディエゴ動物園

 これが一番面白かった。動物園から逃げ出したチンパンジーが何故か拳銃を持っていて、警察が出動する羽目になるというストーリー。動物園の担当者の女性と主人公の警官のラブコメみたいなやりとりにニヤニヤが止まらない。ウィンズロウさん、こういう話も書けるのね。私もこんな素敵なお巡りさんと出会ってみたいわ~と思いながら読んでいた。デートした後、彼から何日も電話がなくてヤキモキしていたのに、かかってきたら、全然気にしてなかったけど何?みたいな態度で電話に出る彼女に笑ってしまった。

 

サンセット

 この作家のシリーズものに登場していたらしいキャラクターがたくさん出ていて、それらを読んでいる人にはきっと懐かしくて楽しいストーリーなんだろうけど、読んでいない私はイマイチ楽しめなかった。

 

パラダイス

 これもシリーズもののキャラクターが出てくるストーリーで、ハワイでの大麻の取引をめぐる騒動を描いていたけど、サーファーの文化に特別興味があるわけでもないし、こういうテーマにはあまり惹かれないなぁ。

 

ラスト・ライド

 国境警備隊の男性が主人公で、不法入国の問題をテーマにした重いけど読み応えのある内容だった。面白かったけど結末が違っていたら良かったのに。

 

ちなみに「クライム101」の映画はAmazon MGM Studioの製作で2026年公開予定らしい。

 

 

 

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