ロマンス小説感想日記

翻訳ミステリー&ロマンス小説感想日記

海外ミステリーとロマンス小説のブックレビュー

家族のなかの見知らぬ人 A R トーレ

A Familiar Stranger (English Edition)

A Familiar Stranger

  • Torre, A. R.
  • Thomas & Mercer

 

 この作家は元々 Alessandra Torre のペンネームでロマンス小説を書いていて人気もあったようだけど、別名義の A. R. トーレで出したサスペンスがヒットして最近はロマンスよりミステリーに力を入れているみたい。(やはりミステリーはアルファベットに略した男女が分かりにくいペンネームを使うのが流行りなのね。)

 女性作家のサスペンスが好きなのでこれも読んでみた。色々詰め込みすぎて話が若干とっちらかっているような印象はあり、突然心霊現象的な要素が出てきたりするのはどうかと思ったけど全体的には面白かった。夫婦が不倫合戦をしているような前半はやや展開がスローな気がしたけど、意外な事実がどんどん明らかになっていく後半はなかなかのページターナーだったと思う。

 主人公のリリアンは新聞の訃報記事を書いている記者で、金融関係の仕事をしている夫のマイクとの間にティーンエイジャーの息子がいるけれど、マイクはリリアンに隠れて浮気をしていた。そんな彼女にカフェで魅力的な男性が近づいてきて、夫への腹いせで彼と付き合い始める。

 ロマンス小説も書いている作家にしては主人公のキャラクターに魅力が乏しくてあまり肩入れできなかったし、浮気相手も存在感が薄くてインパクトが弱い気がした。主にリリアンとマイクの視点で書かれているけれど、この内容なら浮気相手のデイヴィッドをもっと活躍させたほうが面白かったんじゃないかなあ。最後まで飽きずに読めて悪くはなかったけど、色んな要素が最後に繋がってうまく終結するという感じではないのでミステリーとしては普通かな。

 主人公の記者の仕事や結婚生活のエピソードを描いているような前半と、物騒な話になってくる後半とで落差があり、なんとなく収まりが悪い印象なのが惜しいところ。この作家はこの作品よりも "The Good Lie" や "Every Last Secret" のほうが評価が高くて面白そうなのに、どうしてこれを出したんだろう。

 実は夫に秘密があったというのはよくあるパターンで、そういうサスペンスは色々読んだけど、最近では 「ロング・プレイス・ロング・タイム」が良かったかな。

 

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