この原書は昨年 Harlequin Intrigue から刊行されたもの。category romance に分類されるものだからページ数が少なめだけど翻訳は新書版ではなく文庫で出したのね。
いかにもこの作者らしいヒーローとヒロインのロマンスで、この頁数にしては盛沢山な内容。何しろ11年ぶりに再会した恋人たちのストーリーで、離れていた間にお互いに大変なことを乗り越えて凄い人生を歩んでいた。特にヒーローは陸軍のヘリのパイロットとして何度も危険な戦地へ赴き、同僚を敵に殺され、それだけで一冊本が書けそうな恐ろしい経験をしている。まあでもハーレクインなので悲惨さは控えめで、離れていた間もお互いを想い続けていた2人の一途なロマンスをメインに描いている。親のせいで引き裂かれた2人だけど、実の子供にこれほど酷いことをするなんてどんな親よ。2人の父親の間に確執があるとのことで、なぜそれほど憎み合っているのかあまり詳しく書かれていなかったのでよくわからなかったけど、短い頁数に収めるためには多少説明不足のところがあっても仕方ないわね。ヒロインが救出された後は少し気が抜けたように感じたけど、2人の幸せでラブラブなエピソードに需要があるからこういう展開なのよね。短くて気軽に読めるしベテラン作家だけあってハーレクインにしては中身が濃くて面白かった。
この作家はもうずっと長編しか書いていなかったのに珍しくカテゴリーロマンスを書いたのねと思ったら、昨年はハーレクイン社の75周年だったらしく、お祝いに往年の人気作家の新作を刊行していたらしい。
北米のハーレクイン社のウェブサイトを見ると、最近は色々変わってきているようで、以前あった Harlequin Desire はもうなくなって代わりにAfterglow という新しいレーベルが出来ていた。ページ数は他のハーレクインと同じくらいだけど、表紙がイラストでより若い読者をターゲットにしているみたい。やはり昔ながらのハーレクインはあまり売れなくなってきているのかしら?
今はロマンス系の出版社ではハーレクインよりEntangled社のほうが勢いがあるわよね。「フォース・ウィング」を出してRomantasyを流行らせた出版社だし、ラインナップを見ても、面白そうな作品がたくさんあると思う。




